雪と台風 住民生活を直撃 交通網混乱、停電も
大型で強い台風26号の接近に伴い、広い範囲で降雪に見舞われた十勝管内では、交通網が大幅に乱れ、新得と清水の一部で停電も発生するなど住民生活に影響が出た。暴風雨に見舞われた沿岸部は海上で大しけとなり、学校では下校時間の繰り上げも相次いだ。夕方から夜にかけて暴風雨のピークを迎える見通しで、管内市町村では山間部や河川、港湾での災害発生に警戒を強めている。
◆十勝沿岸、高波に警戒
広尾町の音調津港(町音調津)では午前10時ごろから波が高くなり始め、外防波堤を越える波が押し寄せた。同港に隣接する広尾漁協うに種苗生産施設では土のうを積んだり、施設内の電気機器を高い所に上げたりするなど浸水に備えた。
◆飛行機5便欠航
降雪に見舞われた十勝管内では午前11時現在、日勝峠の清水町石山-日高町大颱橋間(33・3キロ)など国道2本、道道9本で積雪や路面凍結のため通行止めになった。道東道と帯広広尾自動車道では今季初のチェーン装着規制となり、道東道では除雪車両も出動した。
JR根室線・石勝線は札幌-帯広・釧路間を運行する特急全20本を含む55本が運休に。とかち帯広空港発着の航空機は、16日午前のJAL3便とエア・ドゥ2便の計5便が欠航。15日夜のJAL1便も欠航した。
JR帯広駅では同日朝から乗車券の払い戻しや予約変更に追われる利用者が目立った。岩手県の会社員北田恵次さん(48)は急きょ帯広市内に宿泊することとなり「自然災害なので仕方ない。あすの天気もどうなるか心配」と話していた。
◆収穫遅れ懸念
農業では主要作物の多くは収穫が終了しているが、大豆、ビート、ナガイモなどが残っており、影響が懸念される。管内の3製糖施設は事前に収穫したビートで予定通り16、17日に製糖を始めるが、雪で畑に入れず収穫が滞る状況が長く続けば原料確保に影響が可能性もある。
強風に備えてナガイモのつるのネットを下ろす作業を15日に始めた農家もあった。帯広市広野町の農家児玉知秀さんは「(11月1日からの収穫に備え)例年もう下ろす時期なので、大きな影響はないと思う」と話していた。
◆行政警戒強める
暴風雨・降雪などに伴う道路や河川、港湾などへの影響に備え、各市町村役場や関係機関は警戒本部を設置するなど警戒と情報収集に当たっている。
帯広開発建設部は16日午前9時、同部災害対策室内に「平成25年10月16日台風第26号による暴風雨災害警戒本部」(本部長・板倉純部長)を設置。帯広市は総務課防災担当5人が被害情報を確認、道路維持課や管理課が道路や河川の状況をパトロールしている。
積雪に見舞われた中札内村では同日、村や消防、自主防災組織による大地震想定の合同防災訓練が中止になった。消防車両などは冬タイヤに交換するなど対応に追われた。
◆タイヤ交換に追われる
台風に伴う急な降雪を受け、荒天でも走らざるを得ない営業用車両を中心に、管内の企業やガソリンスタンドなどではスタッドレスタイヤに交換する作業に追われた。
JA帯広かわにし(帯広市川西町)では16日朝から、営農指導などに使う公用車3台のタイヤを交換。作業に当たった川西給油所(帯広市川西町)の伊藤大樹主任は「例年、タイヤ交換は11月に入ってから。台風がきっかけでタイヤを換えるなんて記憶にない」と驚いていた。
新聞販売店のかちまい大樹(大樹町、今村克俊店主)でも朝の段階で、山沿いを担当する配達員にタイヤ交換を指示。「例年は11月末に交換している。タイヤが消耗するので、雪が収まったらまた夏タイヤに戻さないと」と話していた。
◆下校時刻繰り上げ
管内の小・中学校、高校では児童、生徒の安全確保のため、下校時刻を繰り上げるなどの対応を取った。帯広市内では全26小学校が給食時間を早めて一斉下校、中学校も部活動などを中止し一部で下校を早めた。十勝教育局によると、管内では帯広三条、幕別、広尾など6高校が授業を1~5時間で打ち切った。浦幌、音更、豊頃、池田、士幌など全9町村で一部の小・中学校が授業時間を繰り上げ、早めの下校措置を取った。
◆新得、清水で停電
北海道電力帯広支店によると16日午後0時50分現在、清水町で19戸が停電している。新得町内でも751戸が同日午前9時25分から午後0時23分まで停電した。同支店で原因の調査などに当たっている。