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農に向き合う~農業経営部会会員紹介「帯広・児玉ヘルス商事」

児玉誠也代表取締役

1.骨由来の肥料や飼料を販売
 ほ乳類の骨を高温で熱処理し、炭化させた「骨炭」、灰になった「骨灰」。それらを原料にした飼料や肥料を販売している。骨炭や骨灰はカルシウムやリンを多く含み、火山灰土が多い日本の土壌に不足しがちな成分を補う。元々は家畜ではなく、一般の健康食品を扱ったことから現在の社名となった。児玉誠也社長は「日本人と同じく土もカルシウムが不足している。骨由来のミネラル補給になる」とし、食べた家畜の丈夫な骨格作りにつながるという。

 用途は畑作や園芸作物、家畜や競走馬の飼料と幅広い。骨灰を使った主力商品「ボーンエース」は、日高管内新冠町の牧場も採用。同牧場で生産された競走馬「ゴールドアクター」が2015年の有馬記念(G1)を制したことで注目を集めた。活性酵素を含む液剤肥料「唐津酵素」も、作物の光合成を促し減農薬につながると評価を受けている。

2.困難乗り越え信用獲得
 扱う農業資材は、家畜の粗飼料や濃厚飼料などと違って成長に欠かせないものではない。価格も高い部類に入る。その中で会社設立から40年余り、農家に地道に効果を伝えていき、支持を根付かせてきた。

 ほ乳類の骨を原料にすることから、BSE問題では厳しい風評被害にさらされた。同業他社が撤退する中、「うちにはこれしかない」と販売を続けた。「飼料安全法でシロと認められるまでの5年間は大変だった。首の皮一枚でつながった」。その間も支えてくれた顧客や関係者の信頼に応えるためにも、扱う商材の選定は入念に行っている。品質はもちろん、工場に足を運び、経営者や販売担当者らとも意見交換を尽くす。製造する会社の知名度や規模は関係ない。「(農家など)お客さんには『お前が持ってきた物だから間違いないだろう』と、信用を買ってもらっているのがありがたい」と話す。

3.非農家初の部会長に
 同友会には25年ほど前に加入した。社会人の振り出しは自動車販売店勤務で、農業分野は素人。「(同友会の会員相手に)物を売ることは全く考えなかった。純粋に農業のことを知りたかった」のが動機だった。勉強会や交流会に積極的に参加して、十勝の農家の考え方、経営について学んだ。そうした姿勢が周囲にも伝わり、2006年に当時の中藪俊秀部会長から後任にと声が掛かった。農業者以外の部会長は初めてで、現在までも児玉社長が唯一になる。

4.必要とされる会社に
 自由貿易など競争にさらされていく十勝農業に対し、児玉社長は品質と安全性で勝負するしかないと話す。「農薬散布は必要だが、できるだけ土への負荷を減らし、そこから生まれる農作物の品質を高めて経営を成り立たせる」と語り、土作りの重要性を強調する。「扱っているのはニッチで特殊な資材だが、その販売を通して農業に貢献したい。会社を大きくして売り上げをどんどん伸ばしていくよりも、『児玉ヘルスがなくなると困る』と言われる会社にしたい」と語る。


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