ジュエリーアイス 世界も魅了 インバウンド増へ期待
NYタイムズ掲載、海外客ツアー・SNS拡散
【豊頃】米紙ニューヨーク・タイムズに掲載された、町大津海岸の氷の塊「ジュエリーアイス」。十勝川から打ち寄せられる“厳寒の芸術”が一気に注目を集め、地元関係者は「世界的な観光名所に」「インバウンド(訪日外国人旅行者)の増加に期待」と夢を膨らませている。
ジュエリーアイスは帯広で英語学校を経営する町出身の浦島久さんが2012年に名付け、「宝石のように輝く氷」として広まった。昨年までは国内の写真愛好家が中心だったが、今年は国際的にも注目されるようになった。
ニューヨーク・タイムズには1月30日付電子版と31日付本紙の科学欄に掲載され、「ダイヤモンドのように輝く氷が日本の海岸に打ち寄せる」という見出しで、「この種の川の氷を見つけられる唯一の場所かもしれない」とする米国の学者の話も掲載し、国際的価値を高めた。
同紙の掲載前にもインターネット交流サイト(SNS)などで国際的に拡散。豊頃町内の十勝ロイヤルホテルには1月下旬にシンガポールと台湾からそれぞれ2人連れがジュエリーアイス観賞のために宿泊。同ホテルの黒井紀行代表は「海外から注目され、ホテルの閑散期に宿泊してもらえるのはありがたい」と歓迎する。
インバウンドが好む観光素材になると注目した農協観光(東京)が2日に行ったツアーでは、マレーシアの中華系観光客57人が訪れた。参加者は「透き通ってきれい」と歓声を上げ、氷を持ち上げてスマートフォンなどで撮影。こうして訪れた海外客がSNSに投稿することでさらに世界中に広がっている。
道が調べた圏域別訪日外国人の来道者宿泊延べ数(15年度)によると、全道で616万1361人が宿泊で、このうち十勝はわずか3%の18万4938人。このため、関係者の間には「ジュエリーアイスを呼び水に十勝のインバウンド対策を」という期待感がある。
豊頃町観光協会は「今年は観光資源を知ってもらおうと国内の旅行会社やメディアのツアーに力を入れたが、海外まで波及するとは」と驚きを隠さない。ジュエリーアイスの見頃は今月いっぱい。
来シーズンに向け世界的な観光地に成長するには、英語表記の看板掲示などが課題となりそうだ。(関坂典生)
◆New York Times Digital掲載
・Ice That Sparkles Like Diamonds Washes Onto Japanese Shores - ニューヨーク・タイムズ電子版1/30
◆「ジュエリーアイス」その他海外メディア掲載について
・Des « joyaux de glace » que vous ne retrouverez qu’au Japon - SciencePost(Encelade Media Group)
・Rare Ice that Sparkles Like Diamonds Found in Japan- NATURE WORLD NEWS
・Sparkling jewel ice can only be found in one place on Earth- Mother Nature Network
・「圖集」北海道超靚沙灘景 冰粒似寶石Twitter熱傳- Yahoo!香港TRAVEL
・Magical "Jewel Ice" Is Washing Up on Japan’s Shore- COSMOPOLOTAN
・While most of Britain struggles to get snow, jewel-like ice is washing ashore on Japan’s coasts- THE IRISH NEWS
・Every winter, magical jewel ice washes up on Japan’s shores- METRO