ノベルズ食品が牛肉輸出 ベトナムにハーブ牛年間1億円
【上士幌】肉牛生産、販売などを手掛けるノベルズ(町上士幌東3線、延輿雄一郎社長)の子会社・ノベルズ食品(西尾康宏社長)は、同社のブランド牛「十勝ハーブ牛」のベトナム輸出に乗り出した。環太平洋連携協定(TPP)による貿易自由化の波が差し迫る中、今後、国際競争で生き残るための新たな活路を見いだす狙いだ。
同社は2006年の設立時から海外進出を視野に入れた事業を模索していたが、当時は牛海綿状脳症(BSE)対策で牛肉の輸出に月齢制限が設けられていた。ただ、日本がBSE発生リスクの最も低い清浄国に昨年認定されたことを受け、シンガポールやベトナムなどが規制を撤廃した。
この流れを足掛かりに同社は日本貿易振興機構(ジェトロ)の輸出有望案件支援事業に申請、昨年11月末に牛肉販売会社として全国で初めて採択された。今年5月には、十勝ハーブ牛を取り扱う池田町の十勝ハンナンが指定管理する食肉センターがベトナム向け輸出食肉登録施設に認証され、海外輸出にめどが立った。
9月29日には、3等級のリブロースとサーロイン合わせて約100キロをベトナム南部のホーチミン市に空輸。きめ細かな肉質や1キロ当たり約60ドルの安価を売りにターゲットを準富裕層に絞り、ホーチミンの牛肉販売会社を通じて市場販売。オーストラリア産「和牛」を脅かす存在として着実にシェアを拡大している。12日にも前回と同じ部位、数量で2回目の出荷を迎える。
年明け後は首都ハノイや、シンガポールへの進出も照準に入れ、月1回のペースで1トン近く出荷する見通し。年間1億円の売り上げ達成を目指し、西尾社長は「ベトナムは有力市場の一つ。十勝ハーブ牛というブランドを世界に確立し、十勝全体の産業振興につながれば」と話している。
延輿社長は「さらなる高付加価値化に向け、国内のみならず海外にも目を向けながら顧客のニーズに応えていきたい」と意欲をみせる。(小縣大輝)
黒毛和牛とホルスタインの交雑種の雌。飼料に17種類のハーブを混ぜ、30カ月以上の長期肥育を特徴とする。町ふるさと納税の感謝特典として贈られる返礼品としても知られ、特にサーロインステーキや5キロのサーロインブロックは人気がある。
◆ノベルズ食品について
・ノベルズ-公式ホームページ