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とかち講座 北海道・十勝から宇宙へ 第2回 道宇宙科学技術創成センター副理事長 伊藤献一氏

十勝にぜひ宇宙に行く玄関口になってほしい。日本の宇宙開発は国が鹿児島など南でやってきて、北海道には声が掛からなかった。ならば自分でやるんだということ。
ヒットサットすべて道内でけさ(23日)のニュースで超小型人工衛星「HIT−SAT(ヒットサット)」の打ち上げ成功が報道されたが、これは北海道工業大の佐鳥新先生の考案した衛星。詰まっているのは北海道の皆さんのアイデア。造ったのも、試験をしたのも北海道。きょうは道産初の人工衛星が飛んでいる記念すべき日だ。
北海道には宇宙関連の誘致構想があり、上砂川町(空知管内)に無重力実験施設もあった。でも生き残ったのは町自ら努力し、自分のアイデアで造った大樹町の多目的航空公園だけ。自分の考えでやってこそ、生き残れると感じる。
専門家の確保では、室蘭工業大や北大に航空、宇宙関係の研究室ができた。あとは何をやるか。国がやれない、独創性のあることをやって初めて存在価値がある。国の技術開発にはコスト意識がない。北海道は「商業ベースにのる宇宙開発」をする。研究者のお手伝いをする応援組織としてHASTIC(ハスティック)をつくった。
目指すのは安価なロケット現在、日本のロケットは大型化の一途。北海道の目標は、小さくて安い、世界初の原理で動く、売れるロケット。道内で製作した「メード・イン・北海道」だ。
北大の永田晴紀先生が開発した「CAMUI(カムイ)型ハイブリッドロケット」は、液体酸素を使いプラスチックを燃やす新しいシステム。2002年から大樹町で打ち上げ、4回成功している。将来は高さ6万メートルまで飛ばす「高層大気観測用ロケット」にしたい。
ビジネスの可能性広がるアメリカでは民間の宇宙開発が促進、大きな変化が起きている。ベンチャー20社が手を挙げ、宇宙はビジネスの場という意識が出ている。04年に初めて民間開発の宇宙船が、人を乗せて100キロの宇宙に行って帰ってきた。
そういう中、しっかりした技術で取り組むのがロケットプレーン社。ビジネスジェット機にロケットを組み込み飛べる。今年6月にHASTICと業務提携を結んだ。08年に米オクラホマ州で営業運航が始まるが、ぜひ北海道でも飛行を実現したい。2012年をめどに、ぜひ帯広空港か大樹町でやってみたい。
このロケットプレーン社のXP機にカムイロケットを載せ、超小型人工衛星を積む計画もある。北海道独自の小型ロケット開発がここで花を咲かせことができる。日本での営業には宇宙航空会社の設立が必要で、ぜひ十勝資本で−と思っている。北海道から宇宙への夢を、十勝の人々と追い続けていきたい。
<略歴>1939年札幌市出身。83年北海道大学教授。専門は燃焼工学、内燃機関学、宇宙環境応用工学。2003年NPO法人「北海道宇宙科学技術創成センター(HASTIC)」を発足させ、副理事長兼専務理事に。03年北大定年退官。北大名誉教授、日本機械学会名誉員、日本燃焼学会名誉理事。

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