帯広の英文雑誌「ノーザン・ライツ」、英国の出版社が発行 最終号から約30年たち実現
1980~96年に帯広で発行された英文雑誌「ノーザン・ライツ」(浦島久発行人)の一部を収録した書籍が、最終号の発刊から約30年の時を経て、イギリスの出版社から出版された。浦島さん(72)=帯広市在住=は「当時は今と違って北海道を英語で紹介する本や雑誌がない時代。苦労はしたが、やってきたことが評価されてうれしい」と喜んでいる。(菊地青葉)
この雑誌は、「北海道の人、風土と文化」をテーマに17年間(年1回)発行。英語学校ジョイ・イングリッシュ・アカデミー学院長の浦島さんが、学校の英語イベント「オール・イングリッシュ・デイ」で開催されたシンポジウムなどの内容を文章で残したいと3~4人で始めた。後に、英語学習者や北海道に興味のある外国人向けの内容に変えて発刊を続けた。
第3号からは、大学の外国人講師だったウィリー・ジョーンズさん=故人=が道内在住の職人たちに焦点を当てた「北の職人シリーズ」を連載。浦島さんらと各地を取材し、連載した全15号で計14人を取り上げた。93年には国際ソロプチミスト日本財団から千嘉代子賞が贈られている。
今回、イギリスの出版社「City of Words」から書籍「Out of Our Hands」(2022年)として出版された。出版社を立ち上げ、国際的に活動する人類学者で作家のジョン・ライルさんが、ウィリーさんの教え子だった縁で出版につながった。浦島さんは「出版はウィリー先生への敬意だったのでは」と推測する。十勝からは、陶芸家の坂田雅義さん(帯広)や歌人の時田則雄さん(同)ら5人に関する記事が掲載されている。
浦島さんは「北海道の職人の姿が、時を超えてイギリスから世界に紹介された。その事実に感動した」と語る。書籍を職人に送ったところ喜んでくれたといい、英語学校創立50周年を迎える来年、雑誌の復活も視野に入れる。
浦島さんは「北海道の職人の生きざまを読んでもらいたい」と話している。書籍の印刷版とデジタル版は、アマゾンなどオンライン小売業者から購入できる。