中島みゆきさんの詞 最後の授業で熱弁 十勝離れる田口芽室高教諭
【芽室】帯広ゆかりの歌手中島みゆきさんを長年研究している芽室高校の田口耕平教諭(65)が24日、同校で中島さんを題材にした最後の授業を行った。「『ふるさと』 詞の世界」をテーマに、曲に表れる「ふるさと」への思いをひもときながら、別れの気持ちを託して中島さん作詞・作曲の「春なのに」を紹介。「楽しい時間を過ごさせていただいた」と生徒たちに感謝した。
国語担当の田口教諭は、1983年に上川管内の美深高を振り出しに、十勝では帯広柏葉高に1993~2008年と11~22年に勤務。同校新聞局顧問として新聞づくりを指導し、全国屈指のレベルに導いた。教員の傍ら、帯広ゆかりの小説家福永武彦の研究をライフワークとする。22年からは芽室高で教壇に立つ。
1回目の帯広柏葉高勤務時、同窓会館「柏友館」展示のために、卒業生の中島みゆきさんに関わる資料を収集。40歳すぎの「一番つらかった」時期に中島みゆきさんの曲に励まされて聴き始めて以来、中島みゆきさんの楽曲の詩的な表現を研究してきた。
最後の授業には、思い入れのある中島みゆきさんを選択。4月5日に帯広美術館で「中島みゆき展(特別協賛オカモトグループ)」が開幕することにもちなんだ。2年C組35人が授業を受けた。
中島みゆきさんの楽曲「異国」と「ホームにて」に表れるふるさとの印象を取り上げ、「ふるさとは懐かしい場所であると同時に、屈折した思いの場所」と解説。逆接を使う特徴的な歌詞の屈折表現を、穴埋めクイズで紹介した。
生徒は「春なのに」の歌声などをプレゼント。岡田愛花さん(17)は「深いところまで掘り下げて面白く教えてくれた」と話した。
田口教諭は「20年以上新聞局で生徒を直接指導し、常に全国トップを目指して一枚に仕上げてきた。それを育む十勝の風土から離れることになる」と寂しがった。今後は札幌で有朋高校の通信制課程に関わる予定。(許静)