永原和可那選手（芽室町出身）が現役に別れ バドミントン元世界女王、五輪２大会出場
試合後、涙をこらえチームメートとハイタッチを交わす永原和可那選手（右、金野和彦撮影）
【宮城】バドミントンの国内最高峰リーグのＳ／Ｊリーグ仙台大会が２日、宮城県のカメイアリーナ仙台で行われ、永原和可那選手（２９）＝北都銀行－青森山田高、芽室中出＝が現役最後の試合に臨んだ。女子の部Ｓブロックの北都銀行は、昨季覇者のＢＩＰＲＯＧＹにストレート負けを喫し、後輩とのペアで挑んだ永原選手は１－２で惜敗。北都銀行は同ブロック４位とし、優勝を決めるＴＯＰ４トーナメントには進めなかった。永原選手は「幸せな競技人生だった。振り返れば苦しい時間の方が多かったが、終えてみれば幸せだったという気持ちが一番強い」と語った。（新井拓海）
芽室が生んだ元世界女王が、選手生活に別れを告げた。松本麻佑選手（現ほねごり、札幌市出身）とのナガマツペアで２０１８、１９年の世界選手権で優勝するなどし、２１年の東京五輪、昨夏のパリ五輪の舞台にも立った。芽室小２年時に芽室町バドミントン少年団で競技を始めた永原選手が、一意の２２年間を駆け抜けた。
永原選手の引退も懸かったＴＯＰ４トーナメント進出には、北都銀行の圧勝が求められる中、第１ダブルス（複）とシングルスが敗れる展開。「いくら反省しても次の試合はない」と第２複の永原選手は、持ち味の攻撃的なプレーを徹底。敗れはしたが、ペアを組んだ後輩の不安を打ち消すかのように声掛けにも注力し、主将として一矢報いて第２ゲームは奪って見せた。
【北都銀行―ＢＩＰＲＯＧＹ・女子団体複】第３ゲーム、シャトルを打ち返す北都銀行の永原和可那選手（金野和彦撮影）
シャトルを追った鋭いまなざしから一転、試合を終えた永原選手の目からは涙があふれ続けた。ＢＩＰＲＯＧＹの第１複で登場した五十嵐（旧姓東野）有紗選手（岩見沢市出身）ら相手チームの戦友たちからねぎらいの抱擁を受け、何度も涙をぬぐいながらチームメートたちとも固く抱き合った。
集大成としたパリ五輪を終え、昨年１１月にナガマツペアを解消。松本選手はチームを離れて現役を続け、永原選手は今年度で引退へ。北都銀行に進んだ１４年から、東京、そしてパリと常に五輪の舞台を見据えて走ってきた。「何をするにもバドが第一優先だった。五輪が終わった後もバドが一番の生活。きょうまでそういう気持ちで、明日からが想像できない」と、引退を決めてもなお情熱を燃やし続けてこの日を迎えた。
競技一色の生活の中、胸に深く刻まれたのは昨年１１月のＳ／Ｊリーグ秋田大会。北都銀行のホームで、苦楽を共にした松本選手とペアを組んだ最後の試合でこれまでが思い返され、「ナガマツとして戦えた時間はすごく幸せだった。松本とだから見られた景色もたくさんあった。離れても活躍を見ている」と、松本選手への感謝は尽きない。
永原選手は今後、海外遠征時に必要性を痛感してきた英語力を磨くべくカナダへ語学留学する。「これからバドミントンに恩返しできるように何かやっていけたらと思っている」と、形を変えて競技に関わるべく新たなスタートを切る。
