年賀状どうする? SNS主流、はがき値上げ、それでもやっぱり…
きょうから投函(とうかん)受け付けが始まった年賀状。近年はSNSでのやりとりが主流になった上、はがき料金も値上げした今年は「年賀状じまい」が加速するとの予測もある。それでも人生の節目を期にその価値を見詰め直し、年賀状に思いを込める人たちも少なくない。(中島佑斗)
「今年から年賀状はどうしようか迷っている」。芽室町の40代女性は率直に打ち明ける。夫が転勤を伴う仕事のため、近況を知らせる意味でも毎年200枚前後の年賀状を出してきた。悩む理由の一つが、はがき1枚当たりの金額が10月から85円に値上げされたこと。今回で年賀状を終わりにすることも頭に入れる一方で「職場でお世話になった目上の方には、やはり年賀状でのあいさつが良いのかな」と悩む。
日本郵便によると、2025年用の年賀はがきの販売枚数は全国で前年比25・7%減の10億7000万枚。記録が残る04年以降で最少の枚数となった。近年のSNS普及の影響のほか、郵便料金値上げによる需要減も見込んでいる。また全国の約750人に聞いたある調査では、すでに60%の人が年賀状を出していないとの結果もある。会社同士でやりとりする年賀状も減っており、市内の飲食店経営者(58)は「今年だけで5~6通、年賀状をやめると連絡がきた」とする。
一方、年賀状による年始のあいさつは文化として定着し、節目の報告を行う手段として、今なお大切に思う人もいる。
今年結婚した帯広市の会社員男性(29)は、お祝いをもらった人たちに年賀状を送る。「お祝い返しもしたが、年賀状で改めて感謝の気持ちを伝えたい」と一枚一枚に思いを込める。市内の小野寺正次さん(84)は昨年、結婚60周年を迎えた記念写真を年賀状に印刷し、100枚ほど知人らに送った。「やっぱり年に1度くらいは、手書きの温かみがあるものを届けたい」と話す。
宮城県出身の市内の末永敢行さん(85)にとって、年賀状は同郷の親族とつながる手段の一つ。「スマホでも連絡はできるけど、年賀状を出すことにこだわりがある。生きている限り、出し続けたい」。送り手の思いが温度感を持って伝わる年賀状に、代わりはないと強調する。
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全国の郵便局で15日、2025年用年賀状の投函(とうかん)受け付けが始まった。「年賀状じまい」が広がりつつあるとされる中でも、帯広郵便局には早速、入り口付近の専用ポストへ投函する人が訪れていた。
市内の70代の主婦は同日午前に来局。「(SNSの)LINEができる人はそれで送っているが、できない人もいる。年1回の安否確認みたいなもの。少し書いてあるだけで様子が分かる」と話し、遠方の友人や親戚へ数枚送った。
同局の特設コーナーでは、ディズニーやトトロなどのほか、北海道日本ハムファイターズの選手がデザインされた年賀はがきも販売している。同局総務部の星野直樹部長は「伝統文化でもあり、普段会えない人への近況報告にも使っていただければ」と話した。
25日までに投函すれば元日に届く。(高井翔太)