前輪は直径130センチ レトロ自転車を川瀬商会が展示
前輪と後輪の直径が大きく異なる設計で19世紀後半に大流行した自転車「ペニー・ファージング」が、帯広市内の川瀬商会(西2南1、川瀬征美社長)で展示されている。1916(大正5)年の創業当時に建てられた築108年の現役店舗のショーウインドーに陳列され、レトロな雰囲気を放っている。
ペニー・ファージングは大きな前輪に直接ペダルが連結されており、1回転で進む距離が長く、より速く走るために考えられた。前輪は直径130センチもあるのに対し、後輪は40センチしかない。当時の上流階級に人気を博したが、アンバランスな構造に安全性が極めて低いものとなっている。
川瀬社長が3年ほど前に知人から譲り受けた。雨ざらしの保管状態で車体全体にさびが回り、部品の劣化も進んでいたが、店長の富森健三さん(59)が後輪やペダル、サドルを交換。黒い塗装を施し整備した。
富森さんは「譲り受けた当初はとても動かせるような状況になかったが、車体前面のエンブレムはきれいに残っていた。おそらく1880年代に作られたものではなく、後世のレプリカだと思うが、単なるオブジェではなく、実際に走行できるもの」という。
店舗前を通る市民から「販売しているのか」と声を掛けられることもあるが、あくまでも展示用として大切に保管している。店内には創業者の川瀬愛吉さん(故人)が昭和初期に手作りした自転車も飾ってある。川瀬社長は「創業100年を機に店を畳もうと思ったこともあったが、思い直して今がある。これからも展示していきたい」と話している。(塩原真)