地域農園にオールドトラクター贈る 保存会会長の茂古沼さん 音更
【音更】音更町在住の元農家、茂古沼一(くに)さん(86)が1日、社会福祉法人音更町柏寿協会(町柏寿台、大熊秀之理事長)に60年前の英国製トラクターを寄贈した。自身が1級農業機械士の腕を生かして修理したオールドトラクターで、同法人の「地域農園 話花(はなばな)」で作業に役立てもらう。(内形勝也)
茂古沼さんは「オールドトラクター保存会」会長を務め、十勝管内外から寄せられる、型式の古いトラクターの修理を引き受けている。自身も20台以上所有している。
話花は町社会福祉協議会の提案を受けた同法人が、施設利用者と地域住民の交流の場として2021年5月に開園。敷地内にあった農園(約830平方メートル)の一部(約360平方メートル)を地域農園として開放している。
これまでは、地域の農家らの厚意で、畑起こしの際などにトラクターを借りて作業していた。家族が同法人の施設で働いている縁で話花を知った茂古沼さんが寄贈を申し出た。
寄贈したのはマッセイ・ファーガソン社(本社・アメリカ)がイギリス工場で1964(昭和39)年に製造した、ディーゼルエンジンの「35X」。動くように修理してきれいに塗装し直し、タイヤを新しいものに交換するなどした。
この日は話花の前で寄贈式が行われた。茂古沼さんがトラックで35Xを運び込み、「皆さんで大事に使ってほしい」と呼び掛けた。
職員や地域住民ら約20人と共に出迎えた大熊理事長は「茂古沼さんの厚意に感謝しかない」とし、感謝状を手渡した。35Xは車庫で管理され、11月下旬ごろの畑起こしから活躍する予定。
話花は開園から4シーズン目を迎えた今季、音更高校元教員で町生涯学習リーダーバンク登録者の平田松征さん(76)をアドバイザーに招き、タマネギやダイコン、ミニトマト、カボチャなど13種を栽培しており、地域住民と施設利用者が触れ合いながら畑作業を楽しんでいる。
平田さんは「茂古沼さんのおかげで、自分たちのペースで農作業ができるようになった。本当にありがたい」と感謝していた。