勝負の地~かちスポeye
昼間は閑散としていたカタールの首都ドーハは、日が沈むと活気づいた。市場には食物や日用品、ペットのインコやカメまで並ぶ。炭火にあぶられる肉、香水、たばこのにおいが入り交じる中、民族衣装姿の人々でごった返す。
以前、アジアを数カ月放浪したことがある。久々の海外だが、旅には慣れているはずだ。ドーハは治安も良い。しかし、異国を満喫する気分にはなれず、日本をたつ前から感じていた緊張感は一向にぬぐえない。
それは五輪への思いを、選手と共にしているからだろう。世界水泳選手権ドーハ大会のオープンウォータースイミングの女子10キロが、3日に行われる。帯広市出身の蝦名愛梨選手に、パリへの切符がかかる。
五輪担当になって約1年。厳しい競争にさらされる選手の姿を目の当たりにしてきた。十勝毎日新聞社の記者の取材は、大舞台のハイライトだけではない。十勝勢を丹念に追い続ける。選手の歩みから、読者に届くことがきっとあると信じている。(新井拓海)