市職員「過労死ライン」超過多数 残業年1385時間も マイナカードなど要因
帯広市職員(一般職)の2022年度の時間外勤務は17万3457時間に達し、前年度に比べて1万4248時間(8・9%)増えた。1人当たりの年間平均は165時間(前年度比14時間増)。マイナンバーカードに関する業務の増大や各級選挙の執行などが主な要因で、ICTによる業務の効率化などを進めているが、時間外勤務は右肩上がりとなっている。
21年度の時間外勤務は20年度比3256時間増だったが、22年度は大幅増となった。
22年度の時間外勤務が年間1000時間を超えた職員は2人(前年度比5人減)で、最長は1385時間だった。年間を通して、月45時間超えは延べ766人(147人増)、月80時間超えは同105人(16人増)、月100時間超えは同72人(22人減)。国が過労死の労災認定の目安とする「過労死ライン」は時間外勤務が月100時間または2~6カ月平均が80時間となっている。
時間外勤務手当も増え、22年度は4億517万円で、前年度より3291万円増加した。
時間外勤務が特に多かった部署は、マイナンバーカードの申請受け付け・交付などを行う総務部。市民福祉部も新型コロナウイルスワクチン対応などがあり、前年度に比べると減少したが高水準にある。選挙は昨年度に市長選と参院選があったほか、今年4月の統一地方選の準備もあった。予算編成を行う政策推進部も恒常的に長時間労働となっている。
市では業務の集中を避けるために部署ごとの繁閑を考慮して応援体制を取ったり、事務作業を自動化するシステム「RPA」を導入したりして業務の効率化に取り組んでいるが、市人事課は「国から下りてくる事業も多いほか、市民サービスの観点から業務のスクラップもなかなか進められていない」とする。
市行財政改革計画では、24年度の月45時間超えの職員数を509人以下と目標を定めているが、達成は見通せていない。(津田恭平)