赤髪リーゼントのラーメン店主、実は酪農家~まちマイ上士幌編
赤いリーゼント姿で、屋台の横には改造したトラック。売るのは味自慢のラーメンだ。「クオリティーより、インパクト」と上士幌町の酪農家矢戸宏和さん(42)は笑顔を見せる。
イベントでのラーメン屋台を始めたきっかけは「人とのつながりを求めて」。高校1年生の時、トラブルでバトミントン部を退部。その後ガソリンスタンドで「部活動のように」アルバイトに励んだ。卒業後はそのまま就職した。
だが実家を継ぐはずの弟が別の道に進んだため、1年で退職し酪農家の道に。酪農業に精を出す一方で、スタンド勤務時代に味わった、さまざまな客と話す楽しさを思い出していた。
イベントに出るため、「キッチンカーのラーメン屋は少ない」と考え、2018年、同町の秋祭りに初出店。午前中で売り切れる盛況ぶりだった。
見た目の反響も相まって人気に。3年前に始めたインスタグラムのフォロワーは530人になった。キッチンカー仲間の柿本ちほさんは「どこのイベントでも盛り上げてくれる。昔ヤンキーが乗っていたような自転車で走ってきたこともある」と笑う。先日は母校の上士幌高校の学校祭でも出店。ラーメンを食べた同校2年の佐藤瑞輝さん(16)は「もちもちしてうまかった」と満足げだった。
4人の娘を持つ矢戸さん。「このまま楽しく続けていきたい」と、来店客に“スマイル”も売りつつ、わが道を行く。(高井翔太)