知事選スタート 4氏が届け出
【札幌】統一地方選の火ぶたを切る道知事選(4月9日投開票)が23日、告示され、新人で岩見沢市の自営業、門別芳夫氏(61)=無所属=、現職の鈴木直道氏(42)=無所属、自民・公明・大地推薦=、新人で元衆院議員の池田真紀氏(50)=無所属、立民推薦、共産道委、社民道連支持=、新人で島根県出雲市の理美容師、三原大輔氏(48)=無所属=の4氏が立候補を届け出た。いずれも札幌市内で第一声を行い、舌戦をスタートさせた(正午現在、届け出順)。
全国で唯一、事実上の与野党対決の構図。人口減少対策やコロナ後を見据えた経済再生対策などで論戦が交わされる。
門別氏は「北海道を守り、育て、豊かにする」をキャッチフレーズに選挙戦を展開。格差のない社会の実現、知事自ら道民の声を聞く道政、北海道百年記念塔の解体中止、道財政を見直し生活応援給付金の支給などの政策を訴えた。
鈴木氏は、次世代半導体製造やデータセンターなど関連産業の集積を公約に盛り込み、デジタル、エネルギー、食を重点施策に選挙戦を進める。ゼロカーボン北海道では新たな基金を創設して取り組みを加速するほか、地域おこし協力隊の定着を支援するなどと訴えた。
道政転換を訴える池田氏は、人の命や暮らし、人権を重視した公約を発表。「誰ひとり置いてけぼりにしないあたたかい道政へ」をキャッチフレーズに、差別や偏見をなくすことを目指した人権条例や、道政課題に道民の意思を反映させる道民投票条例の制定を訴えた。
三原氏は北海道百年記念塔の解体阻止を政策とし、道央圏を中心とした遊説で訴える。
声を聞き政治を変える
門別芳夫候補(61) 無所属・新
私のもとにはたくさんの声が届いている。ガスや電気が高いとの声、行政や国がもっと何とかしてほしいという声が聞こえる。今の道政は一生懸命やっているが、その先は経済界であったり、富裕層だったりして北海道には未来があると喜んでいる。しかし、そう思っているのはごく一部の人。毎日の生活に必死になっている人には、ほとんどその影響が及んでいない。
そのことに誰も声を上げない。今は完全な格差社会になっている。知事が自ら、道民の声を聞く道政にしたい。北海道百年記念塔の解体にも声を出していきたい。道財政も見直し、生活応援給付金も考える。今政治を変えていく。
<もんべつ・よしお>
1961年仙台市生まれ。76年札幌市立中島中卒。タクシー乗務員などを経て岩見沢市で建設設備業(自営業)。2021年衆院選ではれいわ新選組の公認を受けて比例道ブロックで立候補し落選した。
北海道の価値押し上げ
鈴木直道候補(42) 無所属・現(自民、公明、大地推薦)
まずは道民の命、暮らしを守る。長引くコロナ禍や物価高の厳しい状況下で、道政に一秒たりとも空白を空けるわけにはいかない。巨大地震から命を守るために、市と町で進める避難施設整備に対し、道独自の財政支援をする。子育て支援では、市町村の対策に対し、道がサポートすることで、教育環境をさらに充実させ、子ども応援社会を実現する。
北海道を愛する道民が安心して住み続けられるよう、優しく温かい社会をつくる。「エネルギー」「デジタル」「食」の三つをキーワードに、コロナ禍の変化を追い風に変え、北海道の価値を押し上げる挑戦を私にさせてほしい。
<すずき・なおみち>
1981年埼玉県三郷市生まれ。99年東京都庁入り。2004年法政大卒。夕張市派遣を経て11年に同市長選に出馬し初当選。15年に再選後、任期途中の2月に退職し、19年の道知事選で初当選。
1次産業守る交通網に
池田真紀候補(50) 無所属・新(立民推薦)
北海道だからある基幹産業は、お金で買えない、他府県にもない大自然の中にある食。この1次産業を守っていくためには道路、鉄路を含めた交通網が大事。そのために交通の条例をつくり、道の責務を明確にして行っていきたい。
179市町村それぞれがマチの魅力を生かし、自主自律の精神でもっと豊かな暮らしができる。広域の課題は、道が180番目の自治体として引き受け、覚悟をもって国に申し、事業をつくっていく。
誰一人置いてけぼりにしない信条は、今ほど感じたことはない。皆さんと一緒に前に進む道民目線の、道民のためのあたたかい政治を、道民と一緒につくっていこう。
<いけだ・まき>
1972年東京都板橋区生まれ。97年板橋区役所入り。2012年から北海道社会福祉会勤務。15年北大大学院修了。17年衆院選は比例復活で初当選し1期務めた。21年衆院選では道5区から出馬し落選。
百年記念塔を守る声を
三原大輔候補(48) 無所属・新
52年前、開拓の人々に感謝と慰霊と心を込めて建てられた北海道百年記念塔が今、正当な理由なく壊されようとしている。歴史がどれほど大切か、それを体現する百年記念塔を絶対に壊してはならない。少しでも道民に記念塔解体の暴挙を知ってもらいたい、反対の声を上げてもらいたい。
今、世界的にキャンセルカルチャーという名のもとで歴史的建造物や銅像などが破壊されている。過去と今をつなぐ証しがなくなろうとしている。記念塔もまさにその渦にのみ込まれ、今それを止めなければならない。百年記念塔を守るため、一緒に声を上げよう。
<みはら・だいすけ>
1974年島根県出雲市生まれ。島根県立出雲高等職業校中退。90年から出雲市内の理美容店で理美容師として勤務後、2013年に出雲市郵便局に勤務。22年に退社して、現在無職。