帯北前半好機先制も失点で失速、高校サッカー選手権道大会1回戦で無念の敗退
【旭川】第101回全国高校サッカー選手権道大会(道サッカー協会など主催)は15日、旭川市東光スポーツ公園球技場などで1回戦の11試合を行った。十勝地区代表の帯北は道文教大付属(千歳地区)を相手にFW室山晟明(3年)が先制ゴールを決めたが前半終盤に追いつかれ、防戦となった後半は立て続けに失点を喫し、1―4で敗れた。帯北の初戦敗退は2008年の第87回大会(2回戦)以来14年ぶり。(古川雄介)
◆帯北、相手ペースに攻撃も沈黙
後半、次々に追加点を許し引き離される展開に心がすり減り、タイムアップの瞬間はぼう然とするしかなかった。片桐聡監督は「崩されていない中の失点で落ち込み、相手を流れに乗せてしまった。向こうの粘りが上回った」と完敗を認めるしかなかった。
前半は左サイドから再三の得点機があった。サイドバックの前北直哉主将(3年)が果敢に駆け上がり攻撃参加、FW室山晟明(同)がドリブルから折り返し、FW佐賀勇斗(同)がシュートを放った。室山の個人技で待望の先制点を挙げるも、その後は追加点を奪えず、逆に前半終盤にCKから同点弾を許した。
後半は一転して相手ペース。自慢の攻撃も沈黙した。「相手がどうと言うよりも、自分たちが守備的になり狙うことができなくなった。重い雰囲気にしてしまった」と前北主将。CK、FK合わせて15本のセットプレーは182センチのDF東雲夢輝(2年)らをターゲットにしたが、相手DFの体の寄せは厳しかった。
3年生は入学時から新型コロナの影響で振り回されてきた世代だ。高体連大会の中止やリーグ戦の途中中止も経験した。「練習の中断で体力的に戻らず、けが人も続出した」と片桐監督。同校は特に厳しい感染対策を行い、丸2年間は練習試合などでの遠征を自粛した。道内トップチームが集うプリンスリーグに属していない帯北にとって、強豪との試合経験不足は痛かった。今夏、3年ぶりに解禁された道外遠征では目の色を変えてプレーする姿があったという。
これで全て終わったわけではない。選手権と並ぶ目標であるプリンスリーグ昇格を懸けたプレーオフが11月3日に開幕する。球際の激しさなど、常に高いレベルの試合ができるトップリーグ復帰は、必要なステップだ。「上のリーグでの試合は成長に直結する。プリンスにいる帯北を、皆に見てもらいたい」と話す前北主将は、後輩たちに財産を残すつもりだ。
◆室山晟明、応援の家族の前で先制ゴール
帯北のスピードスター、左ウイングの室山晟明が得意の形で先制弾を決めた。左サイドを深くえぐってゴールに向かい、切り返してDFをかわすとともに角度をつくり、右足で鋭く蹴り込んだ。「サイドは自分のゾーン。いい形で決められた」と手応えがあった。
北見のクラブから帯北に進学。けがなどで試合に出られない時期もあったがアピールを続け、「最終的に90人のメンバーから11人に選ばれ、試合に出られたのが誇らしい」と胸を張る。駆けつけた家族の前で得点できたのもうれしかった。
先制ゴールも波に乗れずチームは敗れた。「サッカーの怖さを感じた」と室山。気持ちを切り替えて臨むプリンスリーグ昇格戦に向けて「信じて使ってくれた監督には感謝しかない。最後くらい後輩や監督、北高に何か残したい」と決意を込めた。
◇1回戦
道文教大付属 4(1-1 3-0)1 帯北
▽得点
【道】伊藤(前半37分)加我(後半13分)三浦(同17分)林(同36分)
【帯】室山(前半20分)
北照 17-0 中標津
札幌龍谷学園 2-0 岩見沢緑陵
函大有斗 2-2 釧路北陽
札幌第一 3-2 札幌東
旭川大高 2-2 東海大札幌
北海 3-0 滝川西
とわの森三愛 9-0 室蘭清水丘
札幌創成 5-1 稚内大谷
駒大苫小牧 5-0 七飯
網走南ケ丘 1-1 旭川北