シリアの食文化を一冊に 「十勝でも生かされることはある」 帯畜大・平田教授が出版
帯広畜産大学の平田昌弘教授(55)が「西アジア・シリアの食文化論」(農村漁村文化協会)を出版した。3年間シリアに滞在し、旬の食材の調理や保存方法を研究、「旬の食材を大切に保存し、理にかなった方法はまさにSDGs。十勝の食文化にもつなげられることは多い」と話す。
平田教授は1994年から3年間、青年海外協力隊としてシリアで活動。牧畜の調査などを行う一方で、食文化にも興味を持ち独自に八百屋や家庭への調査を進めた。
シリアが属する西アジアの食文化の特徴は「『季節性』にある。油と香辛料を多用する地域とされてきたが、季節に応じた繊細な調理方法がある」と平田教授。夏は高温乾燥、冬は低音湿潤の地中海性気候にならい、市場には旬の食材が並ぶと同時に保存食への加工作業が行われる。微生物発酵を利用した保存方法は少なく、乾燥や塩漬けが多い。「保存食の存在は大きく、乳製品、香辛料、トマトなど果実による酸味調味料の発達が特徴」とする。
内戦が10年以上続くシリアを憂い、「混乱前の食文化を継承したい」と執筆に至った。野菜や果物の旬を示したカレンダーや調理方法など具体的に記し、「食材加工や保存技術を伝えることでフードバレー十勝にも貢献できれば」と話す。6000円(税抜き)。書店や帯畜大生協などで扱っている。(松田亜弓)