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石崎「ベッドから起き上がれないほどの疲労」 北京五輪女子カーリングの激闘振り返る

銀メダルを手に笑顔を見せる日本代表のロコ・ソラーレ(左から石崎琴美、藤澤五月、吉田夕梨花、鈴木夕湖、吉田知那美)は抜群のチームワークを発揮した(日本カーリング協会提供)

 北京五輪女子カーリング競技で銀メダルに輝き、前回2018年平昌(ピョンチャン)大会での銅メダルを上回る結果を出した日本代表「ロコ・ソラーレ」が23日、オンライン記者会見を行った。カーリング史上初の2位。石崎琴美(43)=帯南商高、帯一中、帯広栄小出、旭川市生まれ=は、試合には出場しなかったが、リザーブとしてチームを献身的に支え続けた。14年ソチ五輪のスキー・ジャンプ男子でメダル2個を獲得した葛西紀明の41歳の最年長記録を更新し注目も浴びた。「大会中は感じていなかったが、帰国後にひどく疲れていることが分かった。ベッドから起き上がれないぐらいの状態」と話し、激戦続きだった五輪を振り返った。(北雅貴)

 石崎は帯南商高までバレーボールに打ち込み、卒業後に入社した東光舗道(帯広)でカーリングを始めた。02年ソルトレークシティーでリザーブ、10年バンクーバーではリードと2度の五輪を経験。13年に現役を引退したが、ロコ・ソラーレを創設した本橋麻里さんが15年に産休に入ったのを機に、一時的にチームに加わった。

 18年には解説者として平昌五輪銅メダルの場面を取材。20年にロコ・ソラーレから豊富な経験を買われて、チーム入りを要請され受けいれた。

 北京五輪では裏方に徹した。毎日、その日の全試合が終了した夜遅くに「ナイトプラクティス」と呼ばれる作業に没頭。黙々と石を投げ、アイスとの相性を確認し、選手それぞれ特徴に合わせて石を決めていった。

 チームとして決して順調な銀メダルではなかった。大会の初戦は黒星スタート。その後は4連勝したが、中盤以降は韓国、英国に連敗するなど再び窮地に追い込まれた。「みんな疲れも出始めて一番ピンチだと思った。試合を重ねると感情も頭もいっぱいいっぱいになる。次のことも考えないといけないが、負けたその試合の記憶はすごく残る」と振り返った。

 石崎の武器の一つに的確な声掛けがある。「苦しい時にどういうサポートができるか考えた。チーム全体に話し掛けたり、タイミングを見て個々とコミュニケーションを取るように工夫した」と場面に応じて使い分け、個性の強いチームの精神的支柱ぶりを発揮した。

 メンバーからは「琴美ちゃん」と親しまれ、厚い信頼を受ける。「琴美ちゃんを(メダルなしの)手ぶらで帰らすわけにはいかない」が合言葉になっていたほど。この日の取材でも、報道陣から石崎へ指名があるたびに、ほかの4人はうれしそうに笑っていた。

 石崎はチームとともに5月の日本選手権大会(21~29日・北見市常呂町)に参加する。それ以降については未定だ。北京での記者会見では「カーリング人生で、こんなことがあるんだ」と感激していた43歳の銀メダリストは、ジュニアの育成を課題に挙げる。「日本カーリング協会と、世界の舞台などでいろいろな経験をした選手が、発展のために協力し合う。ほかの競技からも良いところは学んでいけたら」と具体的な方法を示し、しっかり者の顔をのぞかせた。

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