中学生軟式野球クラブ「帯広セントラルノースクラブ」本格始動、中体連との共存目指す
中学校軟式野球部で部員数が少なくて単独校ではチーム編成が難しい帯一と帯五の生徒を対象としたクラブチーム「帯広セントラルノースクラブ」(橋本健太郎代表)が今季、本格始動した。部員数の変動によって組み合わせが短い期間で変動する従来の合同チームとは違い、長期的に同じ部員、同じ指導者の下で野球に打ち込める環境を整えた。(大野篤志)
軟式野球が盛んな十勝でも野球人口減少は深刻。管内の中学校野球部はかつて最大で44校を数え、今年度も39校が活動しており、学校数では大きく落ち込んではいない。今夏の全十勝中学校夏季大会には25チームが出場した。そのうち合同チームは8チームと少数派だったが、3年生が抜けて新チームに移行した全十勝中学校秋季大会兼道中学校軟式野球選抜大会全十勝予選会では出場21チーム中、単独校は8チーム。残る13チームが合同とセントラルノースとなり、数で逆転した。合同12チームは27校で構成され、夏季大会を単独で戦っていた10校が他校と組まざるを得ない状況にある。
安定した環境で
ただ、合同チームは来春、新入生を迎えることで編成が変わることもある。部員数が増えれば単独校に戻る学校も出てくる。人数が足りない学校は別のパートナー校と組まなければならない。顧問の異動があれば練習方法や野球スタイルの変更も生じる。
帯一もかつては70人近い部員がいたことがある。しかし、昨秋の時点で2年生2人、1年生5人。今春、1年生4人が入り11人となった。帯五は今年度、3年生2人、2年生1人、1年生1人の状況だ。
3人の子どもが帯一野球部員だった橋本代表は現状に危機感を抱く指導者らの声を聞き、「野球は団体競技で、仲間がいての野球。子どもの成長にとって大きな柱だった。年間通して同じ顔触れで、3年後に仲間との集大成を迎えさせてあげたい」との願いの下、昨秋、同クラブの立ち上げを帯一、帯五両校に打診。野球部はそのまま存続させて部員はそれぞれの野球部に入部。活動は同クラブに委託するという形で両校の理解を得て11月に設立した。帯一顧問の鎌田大教諭、澤田賢和教諭、帯五同の中村裕喜教諭に指導スタッフを依頼した。
クラブは今春から活動を開始し、帯一中グラウンドを拠点にして帯五の部員も通い、月曜日の休養日以外は火-金曜日は放課後に活動、土、日、祝日は練習試合、大会と位置付けている。
クラブチームのため、中学校体育連盟(中体連)の夏季大会には出場することができないが、北海道軟式野球連盟十勝支部に登録することで同連盟関係の大会参加は可能。3年生を中心とした大会では8月に道中学軟式野球連盟主催の全道中学生大会に出場。1回戦で苫小牧市青翔中(胆振地区代表)に1-4で敗れたが、途中までは互角に渡り合った。エースの阿部郁哉(帯五3年)は「昨年の秋から一緒に練習してきたので気持ちも通じ合い、安心して戦うことができた。投手として成長もできた」と充実した様子。主将としてけん引した太田理久(帯一同)も「一つのチームとしての戦いができた。チームとしてのレベルも上がり、強い相手にいい戦いはできた。後輩たちにも全道の雰囲気を感じてもらえたと思う」と達成感を漂わせる。
雰囲気上々
3年生4人が抜けて新メンバーで挑んだ選抜大会全十勝予選会帯広支部大会は帯七・帯清川・帯川西合同に五回コールドの0-8、同全十勝予選は札内東に1-7と、どちらも1回戦で敗れたが、吉田弦生主将(帯一2年)は「みんな仲が良く、雰囲気がいい。これから自分たちの野球をつくり上げていく」と前向きだ。坂田大輝投手(同)も「10月のIBA-boysU-14大会に向けて練習を頑張り、初勝利を挙げたい」と気合を入れる。
長年、中体連野球の指導者を務めている鎌田監督は「3年間、同じメンバーで、同じ目標に向かって野球に頑張る力を持たせてあげたい」と歓迎。現在、合同チームを組んでいる他の中学校の指導者も「各校とも人数が減っているのは目に見えている中、子どもたちに野球ができるチームを保障するという目的は学校もクラブも同じ。柔軟性を持つことも大事では」と理解を示す。
橋本代表は「選手だけでなく顧問についても継続してもらえることを願っている」と腰を据えたチームづくりを目指す。
中体連と共存を
クラブ立ち上げ時には「強い選手を集めて、強いチームをつくろうとしている」と懸念する声も聞こえていたが、橋本代表は「あくまでも学校と連携したクラブであり、基本は帯一と帯五の部員が対象。中体連との共存共栄を第一に考えている。新しいモデルとして一緒に軟式野球を盛り上げていきたい」と強調している。