浦幌 ラポロアイヌネイションがサケの遡上を迎える儀式
【浦幌】浦幌町のアイヌ民族団体「ラポロアイヌネイション」(旧浦幌アイヌ協会、差間正樹会長)は19日、サケの遡上(そじょう)を迎える儀式「アシリチェプノミ」を執り行い、神々に祈りをささげ、豊漁を祈願した。
伝統文化の継承を目的に、昨年に続き道からの許可を得て、町十勝太を流れる浦幌十勝川で、自作の丸木舟を使ったサケ漁を実施。この日朝、長根弘喜前会長らが雄のサケ1匹を捕獲した。
「カムイノミ」の儀式では、同団体のメンバーら12人が十勝川や川漁などの神を示す「イナウ」(木弊)に供物をささげ、今後の豊漁を祈願。途中、観覧者を交えて輪になって踊り、長根前会長ら3人による刀を使った勇壮な舞も披露された。終了後、差間会長は「若い人たちがこの儀式を受け継ぎ、来年も無事にサケを迎えることができれば」と話した。
同団体は国と道に対し、アイヌ民族が地元の河川でサケを捕獲することは先住権の一部と主張し、サケ漁を禁じる法律などが適用されないことの確認を求めて札幌地裁に提訴している。この日は市川守弘、長岡麻寿恵の両弁護士らも会場を訪れ、儀式を見守った。(小縣大輝)