はげ天 長崎屋店が28日で閉店
帯広市の老舗料理店「はげ天」(矢野整社長)の長崎屋店(長崎屋帯広店4階)が、28日の営業を最後に閉店する。店を切り盛りしている先代社長夫人矢野靖子さん(83)の年齢的な理由。閉店を前に、店には「十勝を代表するおかみ」の引退に花を添えようと常連客が訪れている。
はげ天は1934年に創業。現在は帯広市内で本店など4店と札幌で1店を展開している。長崎屋店は1990年の長崎屋オープン時に開店。2代目社長・故治夫さんの妻の靖子さんが代表となり、独立採算制で営んできたが、30日にテナント契約の満了を迎えることから、更新せずに店を閉めることにした。
「十勝を代表するおかみ」。靖子さんは、常連客から親しみを込めてそう呼ばれた。天丼や豚丼のたれ作りは、本店から受け継いだレシピで自ら担当。調理法は同じでも、あえて長崎屋店に通う客もいた。
観光客が多い本店に対し、来店客の約8割は地元客。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、3、4月は売り上げが半分ほどに落ち込んだが、緊急事態宣言解除後の回復は早かったという。
靖子さんは「お客さまは家族のような存在。長く営業できたことに感謝している。引退後は趣味のお茶や日本画をして過ごしたい」と話している。(沖田唯可)