帯農野球部 51日ぶりに練習再開
第92回選抜高校野球大会(3月、阪神甲子園球場)に出場予定だった帯農野球部が8日、同校グラウンドで練習を再開した。前田康晴監督が製作した「Let’s Try Again」の横断幕が右翼フェンスに掲げられた中、選手は兵庫県・淡路島合宿を終えた2月17日以来51日ぶりとなる全体練習で汗を流した。井村塁主将(3年)は「みんなの顔を見ることができ、うれしい気持ちでいっぱい」と笑顔を見せた。(岡部彰広)
真新しい練習用ユニホームがまぶしかった。胸に「OBINOH」と書かれたえんじ色の練習着は本来、選抜大会用に新調したもの。新型コロナウイルス感染拡大に伴う大会中止のため、現地での使用はできなかったが、再スタートとなるこの日に着用し、気持ちを一新した。
淡路島合宿からの帰勝後、練習は学校のテストのため休止。その後は同校トレーニングセンターや札幌ドームで自主練習をしてきたが、大会中止が決まった3月11日以降は再び活動を休止していた。
しかし、選手たちは再開に備えて毎日体を動かしてきた。実家が農業を営む井村主将や水上流暢(3年)らは、仕事を手伝ったり、ハウスでティー打撃や筋力アップのトレーニングを続けた。
この日午後1時半からの練習にはマネジャー2人を含む2、3年生37人全員が顔をそろえた。ベンチ前で選手が感染予防のためにそれぞれ2メートルほどの間隔を空けて座り、前田監督が今後に向けての心構えなどを説いた。選手も「夏の大会に向けもう一度気持ちを切り替えて取り組みたい」(前田愛都=3年)と選抜中止のショックを振り払った。
素振り組、グラウンド周囲を周回する長距離走組、グラウンド2組の計4班に分かれて行った練習は約2時間半。千葉俊輔(3年)は「野球ができる時間が少なくなっているが、時間を無駄にしないように」と話した。
選抜出場校に推薦枠があった春季道大会が中止となり、同十勝支部大会も5月下旬に延期された。練習試合も最速で予定していた11日分や25日の白樺学園戦などはできない状態。今後は新1年生16人(マネジャー1人含む)も合流する中、前田監督は「指導者の力も試されると思う。いろんなアイデアを出して選手と夏の甲子園を目指したい」と前を見据えた。