「酪農の楽しさ表現を」 帯広の広瀬さん、なつぞらで監修担当
1日に放送が始まった十勝が舞台のNHK連続テレビ小説「なつぞら」は、帯広市内の酪農家広瀬文彦さん(67)が酪農監修を務めている。撮影現場にも立ち会い、出演者に牛の扱いや搾乳などを指導した。広瀬さんは「ヒロインを通して酪農の楽しさも表現してほしい」と願っている。
広瀬さんは広瀬牧場(帯広)の前代表で、ジェラート販売のリバティヒル広瀬牧場ウエモンズハート代表を務める。
なつぞらは昭和20~30年代の十勝の牧場が舞台。1948(昭和23)年に開業した広瀬牧場の当時の様子を聞かせてほしいと、2017年11月にNHK側から打診があった。脚本を担当する大森寿美男さんと制作統括の磯智明さんの訪問をきっかけに交流を重ね、酪農監修の依頼を受けた。
撮影立ち会い
十勝ロケが始まる直前の18年5月、ヒロインの広瀬すずさんや草刈正雄さん、吉沢亮さんらが広瀬牧場で酪農を体験。なつぞらに欠かせない牛が登場する撮影では現場に立ち会い、酪農家らしく見えるよう出演者の演技に目を光らせた。牛の出産シーンでは、小道具の子牛のひづめの形状が実際と異なるなどと指摘した。
広瀬すずさんの印象について、広瀬さんは「初対面でも怖がることなく牛を触り、搾乳も意外と上手だった。撮影中も牛をなでてスキンシップを取っていた」と振り返る。
姉妹2人に縁
広瀬つながりの縁は他にもある。広瀬すずさんの姉の広瀬アリスさんは、十勝で撮影された映画「銀の匙(さじ)」(14年公開)でヒロインを務めた。役作りのため広瀬牧場で10日間ほど実習し、早朝から搾乳や子牛の世話に当たった。
広瀬さんは「すずさんはシャイで、アリスさんは気さくな性格。2人とも真面目で、真摯(しんし)に仕事に取り組んでいた。華やかな世界の裏には努力が必要だと実感した」と話す。
ドラマで酪農監修を務めるのは初めての広瀬さんは「幾つになっても、新しいことに出合うのはわくわくする。酪農をやってきた自分の人生を肯定されたよう」と喜ぶ。
番組のオープニングに酪農指導として自身の名前が明記されているが、「何かクレームがあったときに(NHK側が)自分を防波堤にしようとしているのでは」とちゃめっ気たっぷりに話している。
(池谷智仁)
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