新種のリス発見 帯畜大の押田教授
帯広畜産大学の押田龍夫教授(55)=野生動物学=らの研究グループは、ベトナム南部のホンカイ島で新種のリス「ホンカイリス」を発見した。長期間地続きだったと考えられる島で固有の新種が発見されるのは珍しく、東南アジアの哺乳類進化の歴史解明につながる可能性がある。
新種リスはタイワンリス属に分類されるが、インドシナ半島に生息する同属と比べ、体重は半分ほどの150グラムと小さく、手足と尻尾の先端が白い特徴がある。2017年1月にベトナム生物資源・生態研究機関が3匹のリスを捕獲。押田教授がDNAを調べたところ、新種と判明した。体毛は淡い茶褐色で、腹部は白い。
世界のリスは約250種で、うちタイワンリス属はこれまで14種が確認されている。
ホンカイ島は、インドシナ半島から約18キロ離れた面積4平方キロメートルの小島。1万年ほど前までは半島と地続きだったと考えられている。独自進化した新種が発見される場合、ガラパゴス諸島のように長期間周囲から隔離される必要がある。1万年という期間は進化には短いことから、地形や環境要因などが影響したとみられている。
また、ホンカイ島だけに生息する固有種の可能性が高く、早急に保護・保全を検討する必要があると指摘。押田教授は「ホンカイ島は開発が計画され、ホンカイリスの絶滅につながる危険がある。生息分布や生態を調べ、保護に役立てたい」と話す。
ベトナム生物資源・生態研究機関のソン博士、京都大学総合博物館の本川雅治教授らとの共同研究。研究成果はアメリカ哺乳類学会の雑誌「ジャーナル・オブ・マーマロジー」8月号に掲載し、公表された。(池谷智仁)