更別で無人トラクター実証 ドローン活用も 国事業に採択
岩見沢市や北海道と共同
道、更別村、岩見沢市は無人トラクターの遠隔走行の実現に向けて、畑作を更別村、稲作は岩見沢市をフィールドとした実証事業を共同で進める。公道走行などの各種の規制撤廃や情報通信環境の整備を進め、AI(人工知能)やICT(情報通信技術)を使い省力化する「スマート農業」の普及を目指す。
各省庁が、近未来技術の取り組みを総合的に支援する「近未来技術等社会実装事業」に採択され、内閣府が8日に発表した。全国で14事業が選定された。
道などが提案したのは「世界トップレベルの『スマート一次産業』の実現に向けた実証フィールド形成による地方創生」。計画では2020年度までに更別村のほ場と作業用道路を備えた村有地を活用しWi-Fi環境を整備。無人トラクターの実証実験を行う他、サブ事業としてドローン(小型無人飛行機)を使った農薬散布の自動航行の実験も行う。岩見沢市では遊水池で地域BMA(広帯域移動無線アクセスシステム)網の整備を進める。
村では農家戸数が減少する中、農家一戸当たりの農地面積は49・7ヘクタールと拡大しており、将来的な担い手不足が懸念されている。村内ではAIが農作物の生育環境から適切な農作業を判断するシステムの構築を目指し東京大学などの研究グループがビッグデータの収集に取り組む。また企業と連携し、農薬散布用ドローンの教習も実施している。
だが、研究を進める中で無人トラクターの公道走行禁止やドローンの農薬散布に関するさまざまな法規制が壁となっている。村は昨年12月に国家戦略特区の指定でこれらの規制を撤廃する改革案を内閣府に提出したが、保留状態となっていた。
西山猛村長は「スマート農業の実現と一次産業の活性化に向け、一歩前進できたことはうれしい」と話している。(高津祐也)