十勝から宇宙日本食を 同友会など認証仕組み学ぶ
「宇宙日本食」開発スタートアップセミナーが8日、帯広市内の十勝産業振興センターで開かれた。十勝に拠点を置き、宇宙食に興味を持つ食品関連の経営者など約50人が参加。十勝からの開発を目指そうと、宇宙航空研究開発機構(JAXA)から専門家を招き、認証基準やプロセス、開発などを学習した。
道中小企業家同友会とかち支部・十勝農商工連携部会(藤田惠会長)主催。大樹でインターステラテクノロジズ(IST)の観測ロケット打ち上げが行われるなど、十勝で宇宙に対する機運が高まっていることから初めて企画した。
JAXA宇宙飛行士・運用管制ユニット宇宙飛行士健康管理グループの野上和真氏が講師を務め、共催の十勝総合振興局やとかち財団、帯広信用金庫の関係者らも出席した。
NASAやロシアの「標準食」に対し、宇宙日本食は「ボーナス食」として位置づけられていることなど、宇宙食をめぐる概要を説明。認証には(1)常温で1・5年以上の賞味期限(2)HACCPに基づく衛生基準-などの必要項目を挙げ、最近話題となった柿の種を含め、現在14社30食品が認証されているとした。
野口氏は「将来的には超長期滞在で保存性も3~5年が必要。宇宙への挑戦自体が社会貢献となるほか、高品質や技術力をアピールする機会にもなる」などと力説した。
参加者からは「JAXAは開発に当たって資金的、人的な協力をしてくれるのか」「電子レンジは宇宙で使えるようになるのか」といった質問があり、野上氏は「直接の補助金などはないが、技術的な質問には応えていきたい」と回答していた。
出席の1人、柳月の田村昇社長は「すぐには難しいかもしれないが、夢があり、挑戦する価値はある」と笑顔。藤田部会長(十勝スロウフード社長)は「予想以上の来場数に関心の高さを感じた。認証を受けるのが理想だが、非常食への応用も利くことからビジネスの可能性もある。今後も勉強の機会を続けていきたい」とした。(佐藤いづみ)