浦幌の化石 エゾゴロモガイ属で最古の巻き貝
【浦幌】町活平の浦幌川沿いの地層から、世界最古となる、巻き貝化石のエゾゴロモガイ属の新種が発見された。上越教育大(新潟県上越市)の天野和孝副学長らの研究グループが突き止め、活平にちなみ「カツヒラコロモガイ」と命名した。同属の大分類となるコロモガイ科は、恐竜がいた白亜紀(およそ1億4500万年前~6600万年前)に出現した仲間。1928年に北九州で発見された化石より約2500万年さかのぼる、約6000万年前の地層から発掘されたことで、現在生きている寒流系貝類の起源を解明する上で重要な意味を持つと共に、白亜紀から生き残った生物、地球の環境変化を知る手掛かりとしても意義がありそうだ。
研究グループは天野氏の他、米国フロリダ・アトランティック大学のアントン・オレイニック博士、金沢大学のロバート・ジェンキンズ博士。今から約6000万年前の地層がある活平層で2014年に化石を発掘後、分析を進めていた。
発見したのは2点の化石。大きさは最大約1センチと小型。縦と横のすじが明瞭で巻き軸に弱いしわがある。
同属としては世界最古。新種であることが分かり、9月2日発行の国際軟体動物学会の専門誌「THE NAUTILUS」に論文が掲載された。学名は「アドメイテ・カツヒラエンシス」と名付け、「活平」が国際的に周知されることになる。
同属は、北極海、北太平洋、北大西洋など寒冷な海域に現在も生きている。約6000万年前の気候は、地球上に北極などの氷床のない温暖な時代。寒流系種は3500万年前の地球の寒冷化の時に出現したとみられるが、今回の発見について天野氏は「さらに古い6000万年前の深海で堆積した地層から見つかったことで、現在の寒流系種の起源を考える上で重要だ」と話す。
採集化石は2点と少ないため上超教育大に収蔵。浦幌町立博物館ではレプリカを展示する予定。(関坂典生)