小麦種まきずれ込み懸念 管内15日現在作況
十勝総合振興局は20日午前、管内の農作物生育状況(15日現在)を発表した。台風の大雨以降も曇りや雨の日が多く、収穫作業がジャガイモで5日遅れ、金時で6日遅れとなった。このため来年産の秋まき小麦の播(は)種作業もずれ込み、適期から遅れる懸念も出ている。
9月上、中旬は前線や低気圧の影響で曇りや雨の日が多く、日照時間は平年を下回った。ジャガイモは15日現在の収穫進捗(しんちょく)率が25・6%で、平年より5日遅い。雨でぬかるんだ畑にトラクターが入れず作業が遅れているためで、平年の進捗率の40%に届いていない。13日に平年より5日遅く収穫始め(進捗率5%)になった金時も進捗率が9・6%にとどまる。
このため、輪作体系でジャガイモや豆類の次に作付けすることが多い小麦の播種作業もずれ込んでいる。昨年の播種始め(同5%)は18日だったが、今年はまだ0%。平年の播種期は20日~10月3日だが、今年は遅れる恐れがある。
秋まき小麦は播種が遅れると、越冬後の春先の生育に影響し、生ぐさ黒穂病など病害のリスクも高まる。同振興局農務課では「ジャガイモを優先して収穫しているという話を聞くが全般的に作業は遅れている。好天が続いて作業が進むことを期待したい」とする。
大豆の生育は前回と同じ4日遅れ、小豆は同1日回復して3日遅れ。収量を左右する莢(さや)の数は大豆が平年の85%で「少ない」、小豆は同94%で「やや少ない」で、最終的には平年を下回るとみられる。
ビートは根の周囲の長さでは平年並み。ただ雨が続いたことからビート自体も水分が多く、病害も発生している。同課も「現場感覚とは違う可能性がある。平年並みの生育状況だが楽観はしていない」とする。
牧草は2番牧草の収穫が同44・2%で、平年より13日遅れ。雨で圃(ほ)場に入れないのが理由で、収量は多いものの家畜に適した栄養価が落ちる恐れがある。同課は「これからは農作業事故が増える時期。遅れを取り戻そうとする中で事故には注意を」と呼び掛けている。(安田義教)