船主が違反事実認める 最大14日の停船命令へ 拿捕漁船の道聴
昨年7月にロシア200カイリ水域内で広尾漁協所属のサケ・マス流し網漁船「第十邦晃丸」(伊東正人船長、29トン)がロシア国境警備局に拿捕(だほ)された問題で、十勝総合振興局は25日午前10時半から、同局で聴聞会を開いた。船主である板垣漁業部(広尾)の板垣龍男社長が違反事実を認め、同局は行政処分を行うことを伝えた。処分は同船の出航を禁止する「停船命令」で、最大14日間。道は今月中にも、停船期間と場所を決めて、処分を行う予定。
同問題では昨年7月18日に、ロシア海域で小型サケマス流し網漁業を行っていた第十邦晃丸が紅ザケの漁獲許容量26・49トンを469キロ超過したとして拿捕され、同8月20日にユジノクリリスク地方裁判所から、ロシア国内法違反で罰金刑の判決を受けた。罰金を納め約1カ月半後、乗組員11人全員が解放されている。
聴聞会は行政処分に当たって当事者の主張を聞く機会で、板垣社長が出席し、広尾漁協の角井雄二専務理事が同席した。違反事実として、漁獲許容量超過により「指定漁業の許可及び取締に関する省令第75条の2」の「外国水域の法令遵守義務」に違反したことが説明され、板垣社長は事実をすべて認めた。
同局は違反事実の認定によって「行政処分をする必要があると判断した」とし、北海道海面漁業調整規則第46条に基づいた停船命令を下すことを伝えた。同条項は「(法令等に)違反する事実があると認める場合において、停泊港及び停泊期間を指定して船舶の停泊を命ずることができる」と定めている。
停泊期間は要項に基づき、操業期間内の最大14日間で決められる。停泊港は十勝港となる見込み。
さらに処分時期についての聞き取りが行われ、板垣社長は第十邦晃丸が昨年12月から4月中旬までの予定でスケトウダラ刺し網漁業に従事していると説明し、「8月からのサンマ棒受け漁業(中の処分)は漁業経営を揺るがすので、これ以外の時期に。4月までにお願いします」と述べた。
最後に板垣社長は「多大な迷惑をかけ、深く反省している。2度と起こさないように適正操業に努めたい」、角井専務は「外務省、水産庁、道に乗組員と船舶の早期解放に尽力いただき感謝している。組合としても再発防止に努めたい」と述べた。
同局は今後、道本庁と協議し、処分内容を固めて通知する。処分時期について、同局は「早ければ今月中」(水産課)としている。
(小林祐己)