松崎町の旧依田邸 地元で活用推進協発足
【静岡県松崎町】帯広開拓の祖・依田勉三の生家「旧依田邸」(松崎町大沢)について、土地・建物を競売で取得した静岡県内のNPO2団体や関係者らが「松崎町依田家住宅等保存活用推進協議会」(渡辺攻会長)を発足させた。保存・活用に向け、5、6月ごろには基本計画を策定する予定だ。
旧依田邸は築300年以上の歴史ある建物。同町の伝統工法による「なまこ壁」などが特徴で、県の指定文化財となっている。依田家によりホテルとして利用されてきたが、経営難から2014年に営業を停止。その後、行政による差し押さえを受け、昨年8月に競売に掛けられた。
第三者に渡って解体されることなどを防ぐため、NPO法人伊豆学研究会(伊豆の国市、橋本敬之理事長)とNPO「くらしまち継承機構」(静岡市、伊藤光造理事長)が共同で落札し、所有権の移転手続きも済ませている。
昨年12月20日には旧依田邸の大掃除と第1回協議会が行われた。大掃除は「依田邸について知る機会に」と両NPOなどが広く呼び掛けた結果、募集人員50人に対し、松崎町長や静岡県副知事ら県内外から200人以上が参加。すす払いなどを通じ、保存の意義を再確認した。協議会では会長を選任し、今後の予定などを話し合った。
同町在住で伊豆半島ジオパークのガイドを務める渡辺会長は「旧依田邸は伊豆半島の発展の原点。これまではホテルだったため、地域住民が気軽に利用できない側面もあったが、これからは地域に開かれた場所にし、保存の意義を訴えていきたい」と話している。
(大谷健人)