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御影3位、最優秀新人に牛尾 全日本女子アイスホッケー

過去最高タイの3位となったフルタイムシステム御影グレッズ

 アイスホッケーの第34回全日本女子選手権Aグループ(日本アイスホッケー連盟主催)最終日は8日、帯広の森アイスアリーナで決勝トーナメントを行い、3位決定戦はフルタイムシステム(FTS)御影グレッズがFW国本由佳の先制弾などで試合を優位に進め、堅守のDaishin(釧路)に2-0で完封勝ち。御影は過去最高タイおよび2月の女子日本リーグと同じ3位に輝いた。決勝は、第3ピリオド終盤に追いついた三星ダイトーペリグリン(苫小牧)がゲームウィニングショット(GWS)の末に5-4でSEIBUプリンセスラビッツ(東京)を破り3連覇を達成した。最優秀新人賞には御影のFW牛尾あずき(幕別中1年)が選ばれた。最優秀選手は三星のFW米山知奈。

 順位決定トーナメント(5~8位戦)の7位決定戦は、八戸レッズ(青森)がGWSで札幌インフィニティーズに4-3で勝ち、Aグループ残留を決めた。札幌はBグループに降格した。同5位決定戦でTOYOTA CYGNUS(苫小牧)に2-3で惜敗し、前回と同じ6位になった帯広レディースは、来季に向けての強化を誓った。(岡部彰広)

◆個人賞受賞者
▽最優秀選手賞=米山知奈(三星ダイトーペリグリン)
▽ベストGK=前田葉月(同)
▽ベストDF=床亜矢可(SEIBUプリンセスラビッツ)
▽ベストFW=大澤ちほ(三星ダイトーペリグリン)
▽最優秀新人賞=牛尾あずき(FTS御影グレッズ)

FTS御影の守護神・近藤真衣、激戦で自信
 世界選手権(28日からスウェーデン)日本代表に内定しているGK近藤真衣が、世界選手権予選(昨年11月)日本代表だったDaishinの高校生GK外崎亜優との対決を制した。

 FTS御影の3位決定戦は、押され気味で始まった。第1ピリオドは自陣で守る場面が増えたが、近藤が12本のシュートを全てセーブ。近藤は「ただ放り込まれただけなので焦りはなかった」と振り返るが、細田秀夫監督は「あそこでしっかり守ってくれたのが大きかった」と立ち上がりの好守を勝利のポイントに挙げた。

 味方もそれに応えた。外崎は前の試合まで119本のシュートを浴びながらわずか3失点の堅守。ゴールをどのようにこじ開けるかが注目されたが、第1ピリオド終了間際にゴール裏からFW国本由佳が虚を突き、GKの足とゴールポストのわずかな隙間にパックをねじ込み先制。第2ピリオドのパワープレーでは鮮やかなパス回しからFW西瑞姫がゴール左にパックを突き刺した。これで2-0。「4失点した前日のSEIBU戦後に気持ちを入れ直した」というこの日の近藤にとって十分な点差だった。

 昨年4月、アイスホッケーに力を注ぐため、短大卒業後に務めた会社から転職した。今季は自チームだけではなく、母校江陵高の練習に参加させてもらったほか、GKスクールにも参加して腕を磨いた。その結果、女子日本リーグでベストGKを受賞するなど、周囲に実力が認められるようになった。

 近藤は「みんなが守ってくれているから失点していないだけ」と話しつつ「これまでと違うのはメンタルが強くなってプレッシャーに勝てるようになったこと」とタフな試合で自信を得た。「周りを見ながら冷静なプレーをしたい」と大舞台に臨む。

FTS御影の中学1年生5選手、勝利に貢献
 今季の御影は、木下美空(御影中・DF)、宮崎愛子(同・同)、園家唯(芽室中・FW)、牛尾あずき(幕別中・同)、佐藤愛梨(浦幌中・同)の中学1年生5人の加入がチームを活気づけた。帯広での2週にわたる国内トップチームとの対戦でも日本代表選手相手にひるまなかった。

 昨季より1セット分増えたことでチームの体力面を楽にさせただけではなく、勝利にも貢献した。小学時代には4人が帯広選抜を経験して全国準優勝を果たすなど、試合経験は十分。「DFの2人は頭を使ったプレーをしてくれたし、佐藤はけがで出遅れたがゴールに向かっていった。園家もどんどん走ってチェックしてくれた」と細田秀夫監督は評価。チーム最年長の小野粧子は今大会の試合ごとに「助けられた」と褒めちぎった。

 この中から最優秀新人賞に、1セット目で小野らとラインを組んだ牛尾が選ばれ、表彰式では喜びに包まれた。牛尾は「今は5人が大人に支えられているが、今度は支えられるように一緒に頑張っていきたい」と笑顔を見せていた。

6位の帯広レディース「メンタル強化を」
 5位決定戦の終了間際に、2点を追う帯広レディースが意地を見せた。試合終了40秒前から6人攻撃を敢行、FW野澤加奈枝ゲームキャプテンが1点をもぎ取り2-3とした。「敗れはしたが1点差と2点差では違う。いい収穫があった大会だった」とGKの吉田眞衣主将は胸を張った。

 反省も残った。前回、Aグループに初昇格して得た6位を上回る成績を目指したが、大道弘樹監督が「選手にはプレッシャーがあったのかも。縮こまっていた」と話す通り、この試合では先制したものの予選トーナメントで見せた集中力が続かなかった。「メンタルの強化が必要」と大道監督、吉田主将は口をそろえて来季を見据えた。

三星3連覇達成「何人抜けてもやることは同じ」
 決勝はライン1本分の差で三星が勝利をもぎ取った。勝負を決めるGWSは両チーム14人目。SEIBUの床亜矢可のシュートがポストに当たった後、ゴールラインを割るにはわずかに至らず勝負が決まった。

 第2ピリオドまでは3-0と三星ペース。しかし最終ピリオドにSEIBUに初得点されてから試合は一変した。三星は足が止まったことで相手に自由に攻撃され、DFからの連続得点などで3-4と逆転を許した。それでもFW米山知奈がノーマークで冷静に決めて追いつくと、延長戦、GWSで薄氷の勝利をもぎ取った。2月の女子日本リーグに続く連勝を狙ったSEIBUの八反田孝行監督は「三星の個人技にやられた」と脱帽した。

 三星は主力が大量に抜け、女子日本リーグもSEIBUに勝ちながら取りこぼしがあって2位に終わるなど好不調の波があった。それでも最多の日本代表をそろえる地力を随所で見せ、ライバルを退けた。来季はエースのFW大澤ちほが海外でプレーするため不在となるが「今大会は自信につながったし、何人抜けようがやることはこれまでと一緒」と小池詩織主将は力強く語った。

◇決勝トーナメント
▽決勝

三星ダイトーペリグリン(苫小牧) 5(1-0 2-0 1-4 延長 0-0 GWS 1-0)4 SEIBUプリンセスラビッツ(東京)
▽得点者
【三】
(1)大澤→小池→米山(1P16分9秒)
(2)大澤→米山→山谷理(2P36秒)
(3)大澤→山谷美(2P9分55秒)
(4)青木→川島→米山(3P16分22秒)
(5)米山(GWS)
【S】
(1)鈴木→床亜(3P4分43秒)
(2)床亜→床秦→久保(3P9分56秒)
(3)床秦→菊池(3P11分57秒)
(4)森井→岩原→床亜(3P13分55秒)
▽反則
【三】9(米山3、大澤、チーム、杉澤、黒須、川島、青木)
【S】7(久保3、園田、岩原、江口、内田)
【三】38(14、12、6、5、1)
【S】43(7、11、23、2、0)

▽3・4位決定戦
フルタイムシステム御影グレッズ 2(1-0 1-0 0-0)0 Daishin(釧路)
▽得点者
【フ】
(1)小野→国本(1P19分54秒)
(2)武田→阿部→西(2P8分26秒)
▽反則
【フ】6(武田2、チーム、宮崎、太田ゆ、富田)
【D】5(寺島2、浮田留、山根、浮田莉)
▽シュート数
【フ】27(7、14、6)
【D】21(12、3、6)

◇順位決定トーナメント
▽5・6位決定戦

TOYOTA CYGNUS(苫小牧) 3(0-0 2-1 1-1)2 帯広レディース
▽得点者
【T】
(1)堀未(2P6分29秒)
(2)桜井乃→坂本→時本(2P14分17秒)
(3)中澤→時本→堀未(3P12分6秒)
【帯】
(1)山本→石田(2P3分36秒)
(2)野澤加(3P19分54秒)
▽反則
【T】4(出口2、堀珠、垣原)
【帯】2(志賀葵、大丘)
▽シュート数
【T】24(5、9、10)
【帯】25(10、9、6)

▽7・8位決定戦
八戸レッズ(青森) 4(2-2 1-1 0-0 延長 0-0 GWS 1-0)3 札幌インフィニティーズ


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