帯広出身の女流能楽師関さん 普及団体「伝統の橋がかり」設立
【東京】帯広市出身の女流能楽師、関直美さん(49)=都内在住=が、伝統文化普及団体「伝統の橋がかり」を今春設立し、活動を進めている。自ら継承と普及に取り組んできた能楽と茶道など、幅広い分野の日本文化を効果的に伝える活動を目指す。関さんは「2020年の東京五輪・パラリンピックも視野に、国内外に発信したい。自分にとって集大成の取り組みで、十勝の皆さんにも賛同してほしい」と呼び掛けている。
関(旧姓・境野)さんは帯広小、帯広第五中、帯広柏葉高、米国ニューヨーク州のセント・フランシス大心理学部を卒業。米国で日本文化の奥深さを改めて認識し、能楽や茶道への関心を強めた。帰郷後は家業の茶道教室を継ぎながらも能楽への憧れを捨て切れず、1999年に東京芸術大音楽学部邦楽科に合格。能楽を専攻した。
2008年に同大大学院音楽研究科博士課程を修了し、音楽博士学位を取得。博士学位を持つプロの能楽師は関さんだけで、宝生流の女流能楽師として09年には初のシテ(主役)を演じた。以前から伝統文化の継承と普及に熱心で、海外の各国大使館で茶道のデモンストレーションを行った他、宝生流企画の公演などで茶席を設けるといった活動を続け、茶道愛好家への能楽普及にも尽くしている。
「伝統の-」は首都圏で約30人の会員が集まり、今年4月に設立した。今後は「講演や初心者ための能楽体験講座、外国人向けの茶道体験といったプログラムを開きたい」とし、国や自治体の補助制度活用も模索している。(岩城由彦)