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大樹-広尾間事業化へ 国交相、手続きを指示 帯広-広尾道

村瀬町長(右から5人目)、伏見町長(同4人目)らと面会し、事業化手続き開始を明言した太田大臣(左から4人目)

 【東京】太田昭宏国土交通大臣は18日、高規格幹線道路帯広・広尾自動車道大樹-広尾間(約20キロ)の新規事業化に向けた手続きを進めるよう省内に指示した。大樹-広尾間は着工時期が未定の計画区間だが、帯広・広尾道の全線開通となる道路建設に大きく踏み出すことが決まった。国交省は7月中に、整備方針(ルート案)などを審議する計画段階評価の作業に着手する。

 同日午後、事業化要望で国交省大臣室を訪れた村瀬優広尾町長、伏見悦夫大樹町長らと面会した太田大臣が、「来月、ルートを決める計画段階評価に入るよう、先ほど事務方に指示した」と明らかにした。

 同席した中川郁子衆院議員が「事業化へのスタートということでよろしいか」と重ねて確認したのに対し、太田大臣は「(広尾-大樹間は)何とかしなければならないと思っていた」とも述べた。面会後、村瀬町長は「待ちに待った回答。まちづくりにとって大きな弾みになる」と喜んだ。

 帯広・広尾道は今年度中に更別-忠類大樹間が供用開始される予定。政府・与党の国土強靱(きょうじん)化も追い風に、広尾延伸のめどを速やかに立てる上では、事実上20日までの今国会会期に間に合った大臣要望の反応が注目されていた。18日は広尾町の渡辺富久馬議会議長、橘克弘商工会長らの他、面会を調整した公明党の横山信一参院議員(比例)=帯広市出身=、佐藤英道衆院議員(比例道ブロック)も同席した。

 大樹-広尾間の計画段階評価は、道開発局による学識経験者らの社会資本整備審議会道路分科会北海道地方小委員会で実施。現道活用を含む複数ルート案を比較検討し、地域医療や物流、観光、防災への効果など地域意見を踏まえた整備方針案を話し合う。ルート選定後は、環境影響評価など新規事業採択までに必要な手続きが進められる。(岩城由彦)

十勝歓迎「熱意が実に」
 太田昭国交相による“ゴーサイン”に、高規格幹線道路帯広・広尾自動車道の大樹-広尾間事業区間化に向けて要望活動を続けてきた十勝の関係者から喜びと期待の声が上がっている。

 前身の「帯広・広尾間高規格幹線道路建設促進期成会」を立ち上げた1985年から、中央要請を行ってきた「高規格幹線道路帯広・広尾自動車道早期建設促進期成会」の米沢則寿会長(帯広市長)は「地域にとって大切なインフラであり、早期の事業化を期待したい」と話す。

 同道路を「命の道路」と表現し、広尾延伸を訴えてきた帯広商工会議所の高橋勝坦会頭は「飼料コンビナートを抱える十勝港は、酪農畜産にとって重要な位置を占める。食糧生産にとってもプラス。引き続き地域から声を上げ、延伸実現に結び付けたい」と歓迎。国道336号(黄金道路)では、トンネル整備も進んでおり、「日高東部との観光連携推進に弾みとなるのでは」と期待している。

 高規格道路の必要性を(1)産業振興(2)防災・減災(3)救急医療(4)観光振興-の4本柱で訴え続けてきた村瀬優広尾町長は「いろいろな人の熱意が実を結んだ。広尾が近くなる」と喜ぶ。1986年、2003年、14年と3回にわたって集まった町民の署名1万5600筆など町を挙げての後押しにも感謝。「早期整備に向けて今後も取り組んでいく」と意欲を新たにしている。(高田敦史、長田純一、関根弘貴)

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