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横浜ミヱさん第一歌集出版「ヌチドウ・タカラ」

歌集「ヌチドウ・タカラ」を手にする横浜さん

 帯広子ども研究所を主宰する横浜ミヱ(筆名・清水嶺)さん(80)=帯広市西17南4=が、第一歌集「ヌチドウ・タカラ-命こそ 宝」を自費出版した。22年前に沖縄を視察した際の短歌メモを基に500首を収録する。「人間の命ほど大切なものはないと実感した沖縄訪問だった」と話し、戦争で亡くなった人への鎮魂と平和を願う歌集になっている。

 詠まれた歌は「子や孫の命守らんヌチドウ・タカラ戦(いくさ)無き世を残してやらむ」「ガマの水ひたひたひたと人骨を洗い泣くなり無惨の戦」など、戦争のむごさへの悲嘆と平和を祈る気持ちに満ちている。

 「ヌチドウ・タカラ」は「命こそ宝」を意味する沖縄の言葉。「ガマ」は沖縄に見られる自然洞窟で、太平洋戦争末期の沖縄戦では「壕(ごう)」として避難場所などに利用された。

 横浜さんは帯広森の里小教諭で情緒障害教育(現・特別支援教育)に当たっていた頃の1992年、帯広市平和教育現地視察団の一員として5泊6日の日程で沖縄を訪問し、石垣島や竹富島などを視察。見たもの聞いたこと感じたことを短歌形式のメモを手帳に記録した。

 その後、原稿用紙に書き改め、自らが所属するカウンセリング研究会の会報などに順次発表していったが、「現地のことを思い出すとつらくて向き合えなくなり、推敲(すいこう)が進まなくなった」といい、作業は中断した。

 しかし、3、4年前、清水町在住の友人阿部剛裕さん、和恵さん夫妻が活字化、さらに時を経て22年越しの第一歌集が出来上がった。表紙には、沖縄訪問の際に友人の故国吉晃さんにお土産としてもらった財布の「紅型(びんがた)」の模様を使った。

 横浜さんは現在、帯広の短歌誌「辛夷(こぶし)」に所属する。「短歌の人から見れば、今回の作品は叫びばかりで歌集というのもおこがましい」と話すが、「世界中がきな臭くなっている今、たとえうるさがられても若い人に語り継がなければならないことがある。この歌集をきっかけに、命を全うする生き方をしたい」と話している。

 A5判、105ページ。150部印刷。非売品。(武内哲)

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