寝たきりでも着られる振り袖製作 VESS
出張理美容サービスVESS(帯広市西18南4、長岡行子代表)は車いすや寝たきりの人でも着られる振り袖を製作し、着付けのサービスを始めた。長岡代表は「これまで諦めていた方や我慢していた方にも喜んでもらえたら。利用が増え、家族や本人の意見を聞くことで改善もできるので、ぜひ相談してほしい」と話している。
VESSの顧客で、この春帯広養護学校高等部を卒業した菅美織さん(18)の母親の瑞枝さん(48)から「卒業式に娘にはかまを着せたい」と要望があったのがきっかけ。美織さんは肢体不自由で視覚障害を持ち、車いすとベッドを利用して生活する。
支援を必要とする人の要望に応じてさまざまな手助けをする異業種プロジェクトチーム「いつも手をつないで」(長岡代表)のメンバーのエステルームしずく(帯広、白川佳美代表)から低価格で朱色の振り袖を買い取り、裁縫が得意なVESSの理容師中村泉恵さんが仕立てた。
振り袖は着脱しやすいように上下に裁断され、上衣の襟元には長じゅばんの襟を縫い付け、帯は面ファスナーで留められるように。利用客第一号となった美織さんは、卒業式の朝に長岡さんらスタッフに袴を着せてもらい、「ずっとにこにこしていた」(瑞枝さん)という。瑞枝さんは「2年後の成人式にもいろいろと相談に乗ってもらえたら」と話す。
振り袖はすでに来年の成人式の予約が1件入っている。まだ1着のみだが、依頼があれば増やしていく予定。レンタル料は3万円(上衣が2万円、下衣が1万円)から。袴はしずくの提供で好きなものを選べる。問い合わせはVESS(0155・38・3558)へ。
(澤村真理子)