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神谷衣理那3年ぶりV 国体スケート成年女子500

【成年女子500メートル決勝】失意の五輪代表選考会から約1カ月ぶりに公式戦に復帰した神谷衣理那。笑顔が戻ってきた

 【栃木県】第69回国民体育大会冬季大会スケート・アイスホッケー競技会第3日は30日、日光市の霧降スケートセンターなどで競技を行った。スピードスケートは500メートルと少年男子1万メートルの決勝を行い、成年女子500メートルは神谷衣理那(毎日元気-白樺学園高出)が39秒79で3年ぶり2回目の優勝を果たした。仁科有加那(長野・日本電産サンキョー-帯南商高出)は準優勝。少年女子500メートルは、山根佳子(帯柏葉高3年)が40秒68で2年ぶり2回目の優勝となった。少年男子1万メートルは小川拓朗(白樺学園高3年)が13分48秒23で準優勝、成年男子500メートルは羽賀亮平(長野・日本電産サンキョー-日大、白樺学園高出)が36秒22で制し、後藤卓也(日大1年-帯農高出)が準優勝だった。フィギュアスケートは成年男子フリーを行い、玉田佳之(帯大谷短大1年)は総合19位。アイスホッケー成年は、2回戦で北海道がGWS(ゲーム・ウイニング・ショット)までもつれ込む接戦の末、栃木に2-3で惜敗した。(小寺泰介)

<スピードスケート>
失意から復活 「自分に力」
神谷

 結果を残しながらソチ五輪に届かなかった神谷衣理那が、失意の底から約1カ月ぶりに公式戦へ復帰。成年女子500メートル決勝は、一度も首位を譲らない力強い滑りで頂点に立ち「自分には力があると実感できた」と、明るい表情が戻った。

 帯広で練習をともにした辻麻希(開西病院)をほうふつさせるスタートダッシュで一気に飛び出した。落ちた筋力は“強い気持ち”で補い、仁科有加那の猛追も振り切った。

 昨年末の代表選考会。神谷は女子短距離2種目で基準を満たして当確とも言われていた。しかし、メダルに近い女子団体追い抜きが優先され、予想外の落選に泣き崩れた。

 「途切れた気持ち」に苦しんだ。休養を挟んで6日に練習を再開したが、体重は2キロ落ちていた。トレーニングにも力が入らず、アジア距離別選手権と世界スプリントを回避。それでも「感覚だけは落とさないように」と、半分の練習量でスケートと向き合った。「次に向けて頑張ろうと思いたい」。傷ついた心を抱え、勇気を持って再び一歩を踏み出した今大会だった。

 4年後の平昌(ピョンチャン)五輪を目指すかは「シーズンが終わってからゆっくり考えたい」。一方で、W杯第5戦インツェル大会(ドイツ・3月7~9日)には、五輪組とともに出場が決まっている。「またオリンピックに近づいていけるよう、ソチじゃない場所でどれだけ頑張れるかが重要」との思いもある。「結果にはこだわらず、選ばれなかった悔しさをレースにぶつけたい」と、もう一度立ち上がる。

【成年女子500メートル決勝】準優勝の仁科有加那。国体を最後に引退、故郷の士幌町に戻る

国体最後に引退「恩返しを」と意欲
仁科

 ○…国体を最後に引退する仁科有加那が、成年女子500メートルで過去最高タイの準優勝を果たした。

 2008年に帯南商高から日本電産サンキョーに入社し、世界スプリント選手権やW杯の代表を経験。今季はジャパンカップ1~3戦500メートルで連勝したが、照準を合わせていたソチ代表選考会で敗れ、「悔しいがスッキリした」と競技生活にピリオドを打つことを決めた。引退後は故郷の士幌町に戻る。

 1000メートルで4年ぶりの優勝を狙い、「最後にお世話になった長野の人へ恩返しを」と燃えている。

【少年女子500メートル】後半の力強い滑りで逆転優勝した山根佳子(中央)

最高の位置取り逆転勝ちに笑顔
山根

 ○…「危なかったけれど、どうにか行けたかな」。スタートの出遅れを挽回して少年女子500メートルを制した山根佳子は笑顔を見せた。

 国体のシングルトラックレースはポジション争いが激しく、第1コーナー直前で他選手が転倒。山根は内側の空いたスペースを逃さず「最高の位置に入ることができた」。4位から2番手に順位を上げ、ライバル曽我こなみ(長野)の背中を追い駆けながら最終コーナー頂点からピッチを上げて逆転した。

 2月7日に開幕する全日本ジュニア(長野)で世界出場権を獲得し、昨年の3位以上を狙う。「スタートを改善して後半の滑りに生かしたい」。課題を修正して高校生活最後の大舞台に挑む。

【少年男子1万メートル決勝】レース終盤、最後の力を振り絞ってスパートする小川拓朗

2年連続準優勝大竹の4位も援護
小川

 ○…少年男子1万メートルは、小川拓朗が2年連続の準優勝と健闘、大竹拓三(駒大苫小牧高2年-芽室中出)の4位入賞にも貢献し、「北海道のポイント獲得に貢献できた」とうなずいた。

 1万メートルには責任先頭8回の規則がある。「他地区に先頭は取らせない」と早い段階で仕掛けた小川は、同じ北海道の大竹を援護しながら力走。終盤の競り合いで一戸誠太郎には敗れたが、大竹を4位に押し上げるバックアップにも一役買った。ただ、一戸にはインターハイで2冠を譲っており、残る5000メートルは「勝負にこだわりたい」と雪辱を誓った。

【成年男子500メートル決勝】優勝を決めて笑顔を見せる羽賀亮平(左から2人目)

スタート決まり伸び伸び滑走
羽賀

 ○…成年男子500メートル決勝は、バンクーバー五輪代表の羽賀亮平が圧勝した。

 国体出場は日大1年のとき以来。慣れないシングルトラックは「スタートしてみないと分からない」という不安はあったが、ロケットスタートが決まって伸び伸びと滑った。「学生が出場していて部活動のような雰囲気を味わえた」と気分転換にもなった。

 2大会連続の五輪出場こそ逃したものの、「今シーズンはまだある」と気を引き締める。同日には、W杯第5戦インツェル大会(3月7~9日・ドイツ)への派遣が発表されたばかり。「一戦一戦を大事に戦いたい」と意気込んだ。

全日本Jrに照準
成年男子500メートル準優勝・後藤卓也(日大1年-帯農高出)の話

 バックストレートで順位を上げることはできたが、もう少し羽賀さんに近づきたかった。国体前は学校のテストがあり、ほぼ準備をしないままここへ来ている。全日本ジュニアは良い状態で臨み、初の世界ジュニア出場権を獲りたい。


(30日、関係分)
【男子】
◆少年
◇1000メートル
▽予選1組

(1)山田将矢(池田高)1分14秒19・決勝へ
▽同4組
(1)横山碧生(山形・山形中央高-池田中出)1分18秒40・決勝へ

◆成年
◇1000メートル
▽予選1組

(2)小坂龍(神奈川・専大-白樺学園高出)1分17秒54・準決勝へ
(3)中山航(埼玉・大東大-帯三条高出)1分18秒00
(5)小林友剛(茨城・水戸開研-明大、白樺学園高出)1分47秒58
▽同2組
(1)今野陽太(開西病院)1分13秒14
(2)戸田真也(山梨・山梨学院大-白樺学園高出)1分15秒31・以上準決勝へ
▽同5組
(2)小室拓也(東京・明大-白樺学園高出)1分24秒16・準決勝へ
(4)今野明星(神奈川・専大-池田高出)1分15秒65
▽同6組
(1)大和田司(味のちぬや-北翔大、白樺学園高出)1分22秒11・準決勝へ

◇1500メートル
▽準決勝1組

(2)今野陽太(開西病院)1分50秒38・決勝へ
(5)小林友剛(茨城・水戸開建-明大、白樺学園高出)1分56秒35
▽同2組
(2)小川新太(東京・明大-白樺学園高出)2分10秒99・決勝へ
(6)高浪健太(山梨・山梨学院大-白樺学園高出)2分11秒2
(8)阿部大輝(クレアシオン-日大、白樺学園高出)2分55秒95

【女子】
◆少年
◇1000メートル
▽予選2組

(1)太田凪砂(帯南商高)1分25秒90・決勝へ

◇3000メートル
▽予選1組

(1)酒井寧子(帯南商高)4分24秒08・決勝へ

◆成年
◇1000メートル
▽予選1組

(1)松田有幾(岐阜・十六銀行-白樺学園高出)1分21秒86
(2)桜井萌美(日体大-白樺学園高出)1分22秒63・以上決勝へ
(3)澤田芽依(山梨・山梨学院大-帯三条高出)1分23秒33
▽同2組
(2)仁科有加那(長野・日本電産サンキョー-帯南商高出)1分24秒72・決勝へ
(3)土田愛(愛媛・イヨテツ-山梨学院大、駒大苫小牧高、屈足中出)1分24秒48
(4)川口愛莉(神奈川・日体大-帯南商高出)1分24秒83
▽同3組
(2)山田真以(神奈川・日体大-帯三条高出)1分27秒56・決勝へ
(4)阿部美沙希(山梨・山梨学院大-白樺学園高出)1分45秒08
▽同4組
(1)辻本有沙(信州大-白樺学園高出)1分29秒45・決勝へ

◇3000メートル
▽予選1組

(1)高木美帆(日体大-帯南商高出)4分23秒35・決勝へ
▽2組
(3)藤村あゆみ(和歌山・タカショー-日体大、白樺学園高出)4分21秒80
(4)門奈津実(富山・ダイチ-白樺学園高出)4分21秒83
(5)高橋菜那(山梨学院大-白樺学園高出)4分21秒84
(6)山田真以(神奈川・日体大-帯三条高出)4分25秒67・以上決勝へ
(7)新田萌(群馬・高崎健大-帯農高出)4分21秒93

 <スピード・決勝>(30日)
(シングルトラック・7位以下関係分)
【男子】
◇500メートル
▽少年

大会記録 加藤 条治(山形)36秒20
(1)小林 裕司(群馬)37秒80
(2)牛山 紘貴(長野)37・86
(3)菊原 魁人(長野)37・95
(4)山田 将矢(池田高)38・15
(5)河合 健朗(埼玉)38・335
(6)青山 航大(山形)38・337

◇500メートル
▽成年

大会記録 及川  佑(北海道)35秒77
(1)羽賀 亮平(長野・日本電産サンキョー-日大、白樺学園高出)36秒22
(2)後藤 卓也(日大-帯農高出)36・54
(3)黒岩 聖矢(群馬)36・88
(4)小室 拓也(東京・明大-白樺学園高出)36・89
(5)若林 勇太(栃木)37・07
(6)中村 健斗(長野)37・53
(7)宗宮 紘汰(山梨・山梨学院大-白樺学園高出)53・08

◇1万メートル
▽少年

大会記録 松尾 駿(青森)3分18秒78
(1)一戸誠太郎(山形)13分45秒86
(2)小川 拓朗(白樺学園高)13・48・23
(3)伊藤 貴裕(長野)13・52・75
(4)大竹 拓三(駒大苫小牧高-芽室中出)13・55・70
(5)青山 航大(山形)13・59・26
(6)根城 将貴(青森)13・53・16

【女子】
◇500メートル
▽少年

大会記録 大菅小百合(北海道)39秒85
(1)山根 佳子(帯柏葉高)40秒68
(2)曽我こなみ(長野)40・74
(3)浅野 実久(帯南商高)40・80
(4)小原 涼子(山梨)41・40
(5)北原 もえ(山梨)41・51
(6)岡部  栞(群馬)43・02

◇500メートル
▽成年

大会記録 溜井 公子(北海道)39秒44
(1)神谷衣理那(毎日元気-白樺学園高出)39秒79
(2)仁科有加那(長野・日本電産サンキョー-帯南商高出)39・91
(3)黒岩 美生(群馬)40・10
(4)土田  愛(愛媛・イヨテツ-山梨学院大、駒大苫小牧高、屈足中出)40・26
(5)大森亜珠香(和歌山)40・50
(6)澤田 芽依(山梨・山梨学院大-帯三条高出)40・95
(8)阿部美沙希(山梨・山梨学院大-白樺学園高出)67・21




<フィギュア>
ミス引きずった
フィギュアスケート成年男子総合19位・玉田佳之(帯大谷短大1年)の話

 得意のトリプルトーループを2本続けて失敗して気持ちを立て直すことができず、最後まで引きずってしまった。スピン、ステップは高いレベルを取ることができた。

(1位と関係分)
【男子】
◇成年
▽フリー

(1)中村健人(東京)145・67
(19)玉田佳之(帯大谷短大)76・05




<アイスホッケー>
◆成年
◇2回戦

栃木 3(1-0 1-1 0-1 延長 0-0 GWS 1-0)2 北海道

▽得点者
【栃】大津、古橋、土田
【北】田中孝、大澤卓
▽アシスト
【栃】瀬口、塚田
【北】田中孝、山内
▽反則
【栃】2
【北】3
▽シュート数
【栃】34(8、10、12、3、1)
【北】30(5、13、6、6、0)

関連写真

  • 成年女子500メートルで優勝した神谷衣理那(右)と仁科有加那(左)

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  • 【成年男子500メートル決勝】トップスピードで第1コーナーを回る羽賀亮平

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