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ホッケー環境求め御影移住 千葉から木下さん一家

昨年、御影に移住した木下さん家族。右から信雄さん、大地君、美空さん、千津子さん

 【清水】町御影に住む木下信雄さん(48)、千津子さん(38)、美空さん(12)=御影小6年=、大地君(10)=同4年=の4人の家族は、アイスホッケーに打ち込む子供の環境を求め、不安を乗り越え昨年6月に千葉県から移住を果たした。地域の温かい励ましを受けながら、両親も新たな目標を定めて、感謝の日々を送っている。

 木下さん一家は昨年6月、松戸市から御影の市街地に移住。しかし、その理由は、「北海道の生活に憧れや夢を持っていたわけではない」という。移住のきっかけは東京で不動産関連の仕事をしていた信雄さんが、一昨年12月に新潟県への転勤を命じられたこと。

 2人の子供は4年前からIHを続けている。首都圏で子供がIHをするにはリンクへの親の送迎が必須。信雄さんが単身赴任をすれば送迎の手段を失い、子供たちはIHを続けられなくなる。

 そんなとき、信雄さんは「アイスホッケーのまち」として雑誌で紹介されていた御影のことを思い出した。アイスアリーナを持ち、優れた指導者がいることから、「子供たちを日本のトップレベルの環境で思い切りプレーさせてあげたい」と、仕事を辞め移住を心に決めた。

 千津子さんは当初、移住に反対。2人に思い切りIHをやってほしいという思いは信雄さんと同じだったが、ゆかりのない北海道での生活を考えると不安が大きかった。ただ、練習のための移動が長時間で、深夜にフラフラになって帰宅、十分に休息できないまま学校に登校する子供の姿を見て、「夫が最初から最後まで『御影に移住するんだ』とぶれなかったからついていこうと思った」という。

 不安を抱えたまま移住してきた家族を地域は温かく迎えた。信雄さんは「何よりも御影の人たちが温かかった」と話す。移住に反対していた千津子さんも「もっと早く移住すれば良かった」と話し、信雄さんは「妻の一言が本当にうれしかった」と涙を流した。

 子供たちも徐々に生活に慣れ、恵まれた環境でIHに打ち込んでいる。ともに清水御影少年団に所属し、美空さんは「全日本代表に入ってオリンピックに出場したい」、大地君は「(プロチームの)日光アイスバックスに入りたい」と目を輝かせる。

 夫婦にも夢ができた。千津子さんは今年秋をめどに御影でカフェをオープンさせる計画。信雄さんは「孫子の代まで御影で暮らし御影で骨を埋める覚悟で来た。早く“御影の人”になりたい」と話し、どんな困難も家族の絆で乗り越えることを誓っている。
(大谷健人)

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