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夢への一歩 十勝も祝福  杉浦投手ヤクルト指名

ヤクルトの応援に使われるビニール傘を持ってガッツポーズする杉浦稔大投手(24日午後6時すぎ、国学院大学の野球場で、塩原真撮影)

 夢への扉が大きく開いた-。24日に東京都内で開かれたプロ野球のドラフト(新人選択)会議で、東京ヤクルトスワローズに1位で指名された国学院大の杉浦稔大投手(4年・帯大谷高出)。高校卒業時に果たせなかったプロ入りを現実のものにした。夢の一歩を踏み出した喜びとともに、トップレベルでの戦いでの活躍を誓った。2球団が1位指名の高い評価での吉報に、同大ではチームメートが胴上げで祝福、地元十勝でも、テレビ中継を見守った家族や関係者が喜び、さらなる飛躍に期待を寄せた。

 横浜市内の国学院大キャンパスでドラフト会議のテレビ中継を見守った杉浦投手(21)は24日午後4時半、紺色のブレザー姿で同大の会見会場に登場。後方席に陣取ったチームメートと談笑し、リラックスした様子だったが、竹田利秋総監督(72)、鳥山泰孝監督(38)らと会見席に着き中継が始まると、緊張した表情で推移を見詰めた。

 1巡目では指名球団がなかったが、ヤクルト、ソフトバンクのはずれ1位指名を受けると、野球部員から大歓声と拍手が。くじ引きでヤクルトの交渉権獲得が決まると、再び大歓声に包まれた。杉浦投手は「はずれ1位ですが、1位という評価をいただき本当にうれしく思います」と、緊張感から解き放たれたように白い歯をのぞかせた。

 ヤクルトは今季、リーグ最多の16勝を上げた新人の小川康弘投手が在籍。「2人合わせてですか?25勝以上はしたいです」と目標を掲げた。

 喜びの会見後は、野球場で約100人のチームメートに胴上げや肩車を繰り返され祝福。「先発でやっていきたい。基礎体力をしっかり鍛え、合同自主トレに臨む」と活躍を誓った。

 2009年夏の高校野球北北海道大会決勝で投げ合った杉浦投手とともに、同大で投手の二枚看板を形成した柿田竜吾(4年・旭川大高)は「1位指名され、すごくうれしい。これからも応援したい」とエール。バッテリーを組んだ捕手の石川良平主将(4年)は「杉浦の直球は7、8割の力で投げるフォームながら初速が落ちない。一流投手の球を受けさせてもらったのはありがたい」と振り返った。(岩城由彦)

 

ドラフト会議のテレビ中継に見入る弟の杉浦大斗君(左から3人目)と網野元監督(同2人目)=帯広大谷高校、金野和彦撮影

杉浦投手の母校、帯広大谷高校では網野元監督や弟で同高野球部前主将の大斗君(3年)、1年生部員ら約15人が校長室でテレビに見入った。午後5時半ごろ、杉浦投手の名前が2球団から呼ばれると、一堂に「ほ~」と安堵(あんど)のため息が。ヤクルトに決まると大斗君は白い歯を見せながら1、2度うなずいた。大斗君は「自分のことのように緊張した。すごく誇りに思う」と喜んだ。

 網野監督は「体も大きくなり、ボールのきれやスピード、制球力も増して成長した」と大学での努力をたたえ、「帯広の子供たちに夢を与える、目標とされる選手になってほしい」とエールを送った。

 佐藤真司部長は杉浦投手が入学した年の春、ブルペンで投球を受けた印象が強烈に残っている。「中学校を卒業したばかりの段階で既にボールがうなっていた」と懐かしむ。頭が良くて、休み時間に将棋を指す姿も脳裏に焼き付いている。

 帯広市内に住む団体職員の父、幸男さん(50)は家族4人で自宅のテレビを見た。球団からはすぐに電話があり、しばらくして杉浦投手からも「とりあえず決まったよ」と連絡をもらった。「ほっとした口ぶりだった。これから大変だと思うが、息の長い選手になってほしい」と息子の活躍を楽しみにしていた。

 十勝出身者のドラフト1位は、1985年に阪急(当時)に指名された石井宏さん(50)=京都市在住、日大-道日大高、帯西陵中出=以来28年ぶり。帯西陵中1期生の石井さんにとって、杉浦投手は直接の後輩でもあるだけに感慨深げだ。

 石井さんは現在、京都両洋高女子硬式野球部監督を務めているが、今も実家が帯広にある。「同郷としてうれしい。私自身は長くプレーできませんでしたが、太く長くプロ生活ができるよう、体に気をつけてください」とエールを送るとともに「開幕一軍と神宮での初勝利を期待しています」と、今後も見守るつもりだ。

 応援したい

 杉浦投手が帯広西陵中時代に同校野球部監督だった増田耕治さん(41)=帯広緑園中教諭=の話 中学時代から集中してしっかり練習に取り組んでいた。プロの世界は厳しいが努力する杉浦君なら大丈夫。応援したい。

 同窓の誇り

 杉浦投手が在学する国学院大の管内卒業生でつくる國學院大學院友会道東支部十勝会の鈴木扶会長(74)=帯広=の話 同郷・同窓の誇り。“戦国”と言われる東都大学リーグで、チームを上位に押し上げたのだから活躍してくれるはず。北海道出身の若松勉さんが選手、監督を務めたチームなのもうれしい。

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  • 野球部の選手たちとハイタッチで指名を喜ぶ杉浦稔大投手

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  • 野球部の選手たちに担がれガッツポーズする杉浦稔大投手

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  • 国学院大の球場でチームメイトに胴上げされる杉浦稔大投手

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  • ヤクルトに1位指名され笑みを浮かべる杉浦稔大投手(左、国学院大-帯大谷高出)と竹田利秋野球部総監督

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