八木さん、初の十勝舞台小説 音更町出身ミステリー作家
陸別がモデル、あす発売
「町おこしにつながれば」
【東京】音更町出身の作家、八木圭一さん(39)のミステリー小説「北海道オーロラ町の事件簿 町おこし探偵の奮闘」が6日、宝島社文庫から発売される。4作目で初めて、十勝を舞台にした、人情味あふれるご当地ミステリー小説を書き上げた。八木さんは「ずっと書きたかった。十勝愛で書き上げた一冊。ぜひ手にとってほしい」と話している。(植木康則)
八木さんは、1979年生まれ。芽室小、清水中、帯広柏葉高、横浜国立大学経済学部卒。雑誌編集者、コピーライターを経て、現在は都内大手IT企業に勤めている。国の財政問題を描いたミステリー「一千兆円の身代金」が宝島社の第12回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2014年にデビューしている。
今回の小説の舞台は、陸別町をモデルにした「陸幌町」。オーロラ町とも呼ばれるこの町に、病に伏した父のためにガソリンスタンドを手伝おうと一時帰省した主人公。すぐに札幌に戻るつもりだったが、町で起こる事件に巻き込まれ、探偵役を担いながら、町への考え方が変わっていく-という話だ。
構想は3年ほど前。そして1年間かけて執筆した。秋から冬、そして春にかけて、日本一寒い町の雄大な大自然の中で見られるダイヤモンドダスト、フロストフラワー、けあらしなど「極寒の北海道ならではの現象を描いた」という。
陸別町を仮名にしたのは、「現実よりも過疎化が進んだ設定で、殺人事件の舞台にもしてしまっているため」。陸別には天文台など2、3度訪れ、町民らに会って取材した。オーロラ祭は「しばれフェス」がモデル。このほかにもジュエリーアイスや然別湖、屋台村なども登場する。
八木さんは、現在所属する都内大手IT企業の有志として、浦幌町のまちづくりにも携わっている。その経験などから、地域のために課題を解決したい思いも強い。「課題解決の具体的なヒントも記した。町おこしにつながればうれしい。これからもずっと十勝と関わっていきたい」と話している。
「北海道オーロラ町の事件簿 町おこし探偵の奮闘」は文庫判310ページ、価格630円。全国の書店で取り扱われる予定。