瞬間歓声「夢かなえた」 古谷投手ソフトバンク2位指名
「僕らの誇り」監督や後輩喜びに沸く
【幕別】20日のプロ野球ドラフト会議でパ・リーグのソフトバンクに2位指名された江陵高野球部の古谷優人投手(3年)。記者会見場が設けられた同校体育館では、同校初めてのドラフト指名に谷本献悟監督(36)やチームメートらが喜びに沸いた。出身校の札内南小、札内中時代の恩師らも歓喜、十勝で野球に打ち込む子どもたちにも大きな刺激となった。(松村智裕、藤島諒司、眞尾敦)
ドラフト会議開始から1時間以上が過ぎた20日午後6時8分。同校体育館に置かれたテレビから古谷投手の名前が流れると、谷本監督は古谷投手とがっちり握手を交わし、思わず男泣きした。「彼の夢、僕の夢、江陵の夢がかなった。贈る言葉はおめでとうでなく、ありがとうだと思う」と感慨深げ。
鈴木譲二校長は「61年の学校の歴史で、こうした場面に立ち会えたことは名誉。本人の努力のたまもの」と目尻を下げた。
同校野球部のモットーは「球道即人道」。谷本監督は「やんちゃな性格だった」という古谷投手の人間性を磨くことに腐心し、大きな成長につなげた。「ファンに愛され、人の痛みの分かる選手になってほしい。これからも僕は叱る人間でいます」と熱い師弟関係は続く。
指名の瞬間、一緒に見守っていた3年生を含む野球部52人は大きな歓声を体育館に響かせ、グラウンドで胴上げをして祝福した。バッテリーを組んだ大井基暉さん(3年)は「うれしいけど、すご過ぎて実感がない。プロに行く優人の球を受けたのは僕の誇り」。古谷投手から主将を引き継いだ高橋良太選手(2年)は「いつも後輩やチームのことを考えてくれた。人として見習いたい」と大きな目標を追い掛ける。
新チームで140キロ超の速球を投げる右腕エースの工藤遼太朗投手(同)は「古谷先輩がいる間に体の使い方などをたくさん教わり、僕もプロへ行けるようになりたい」と夢を描いた。
町民挙げて応援 飯田幕別町長の話
町出身の初のプロ野球選手となるので、町民挙げて応援したい。素晴らしい球団からの指名。オリンピック出場経験がある(幕別出身の)現役5選手の活躍に加えて、楽しみが増えた
「活躍してほしい」 出身中・少年チームの恩師
出身チームの関係者も喜びに包まれている。古谷投手が小学校時代に所属した少年野球チーム「札内南ライオンズ」で監督として指導し、5、6年時は担任教諭も務めた北畑圭一朗さん(45)=音更下音更小教諭=は「本当にすごいこと」と歓喜。「小学生で球速は100キロは超えていたのでは。野球はもちろん、クラスでも皆を笑わせるムードメーカーだった。ソフトバンクのスローガン『熱男2016』通り熱く活躍してほしい」と期待する。
札内中野球部時代に監督だった播雅彦さん(37)=帯広西陵中教諭=も「教え子がプロになるのは素直にうれしい。多くのファンから応援してもらえる選手になってほしい」と喜ぶ。
古谷投手は中2の秋に行われた道東ブロック大会で、佐藤遥投手(当時)と2枚看板でチームを優勝に導いた。佐藤投手のけがと転校で大黒柱としてマウンドに立つ機会が増え、「エースとしての自覚を持ち、球速やスライダーのキレもどんどん増した」(播さん)。
古谷投手は今年9月、札内中野球部に同級生と足を運んだ。部員の守備練習で走塁も見せ、同部の大和田涼介主将(2年)は「がたいも走りもすごかった。国内トップクラスの投球をプロで見たい」と応援する。