強風時の自動着陸など確認 大樹 神戸大が無人飛行船実験
【大樹】神戸大大学院工学研究科の深尾隆則准教授(情報学)と学生らが、大規模災害時の被災状況の情報収集を目的とした「自律型無人飛行船」の実験を、町多目的航空公園で行っている。同公園での実験は4年目。今回は強風時の自動着陸や、ステレオカメラを使用した情報収集の向上を図っている。
同飛行船は全長12メートルで、回転型ステレオカメラや全地球測位システム(GPS)、風速センサーを搭載。災害時の初期の情報収集手段の1つとして開発が進められ、決められたルートの自律飛行が重要という。
同公園での実験は2006年に開始。当初2年は飛行訓練を主に、08年からはセコム科学技術振興財団(東京)の助成を受けて自動着陸に重点を置いている。今回は強風時にも着陸が可能かどうかの確認を目的に、深尾准教授と学生ら計8人が7月28日に来町。実験場所には、独立行政法人・宇宙航空研究開発機構(JAXA、東京)の飛行船格納庫も使用している。
基本性能の確認後、今月3日から主に着陸を制御する実験に移った。同飛行船を上空50〜60メートルから約20メートルまで降下させることを10日ごろまで繰り返し、地上風速5〜7メートルの強風時にも着陸できるかを試している。
深尾准教授は「20メートルほどまで確実に降下でき、実験は順調に進んでいる。4年目を迎えて飛行船の制御が向上し、実用的なものができつつある」と話している。実験は8月中旬まで。ほかに、従来より解像度の高いステレオカメラを搭載し、距離情報を獲得できるかも実験する。(佐藤圭史)