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9月9日は救急の日、厚生病院の野上医師に子どもの事故防止聞く

救急の日を前に子どもの事故事例や予防策を説明する野上医師

 9月9日は「救急の日」。帯広厚生病院小児科の野上正雄医師(36)は、これまでに関わった臨床事例から、子どもに起こりやすい事故は誤飲や溺水だとし、その予防策について話す。救急医療が必要となる前に、保護者が心掛けるべき事項について聞いた。(高井翔太)

 子どもの事故で多いのが誤飲。「頻度としてはたばこ、薬品、おもちゃの順に多い」と話す。たばこは吐き戻してしまうため、重篤な事故は少ない一方、薬品は大量に飲んでしまうこともあり危険性が高い。菓子だと思い、祖母の高血圧の錠剤を飲み血圧が下がりすぎてしまった事例や、家族の睡眠薬を飲み、意識障害で搬送された事例がある。錠剤を包装シートから取り出せないと思っていたが、元気になりやらせてみると、2歳でも取り出せたという。

体内で溶け腐食
 ボタン電池の誤飲も重大な事故になる場合がある。比較的大きい2センチほどのリチウム電池は電力が高く、危険性も高い。「食道で止まってしまうと通電して粘膜が溶け、腐食する。数日で破れて、最悪の場合は大量出血で亡くなることもあり、手術が必要になる」と説明する。10カ月の乳児が誤飲し、胃ろうをしなければならなくなったケースもあった。野上医師らの実験では、ボタン電池をソーセージに挟むと、10分ほどで色が付き始め、2時間ほどで焦げた。「同じことが体の中で起こる」と啓発する。

 食べ物も注意が必要だ。「判断力やそしゃく力が弱い子どもが口にすると、気管に詰まって窒息してしまうことがある。凍らせたブドウを与え、亡くなってしまったことがあった」という。予防策としてそのまま食べられそうでも「かまなければいけないものは、4歳までは四つに切って」と呼び掛ける。

 たばこの誤飲については、気持ち悪くなって吐き出してしまう場合がほとんどだが、米国では死亡事例もあるという。札幌では幼児がペットボトルに入った業務用洗剤を飲んでしまい、胃や食道が腐ってしまったこともあった。

10センチでも溺水
 溺水も大人の注意が必要だ。典型的な事例として乳幼児と小中学生とで二つのパターンがある。

 乳幼児については「歩ける子どもでも10センチくらいで溺れる場合がある」と説明。「絶対に一人で風呂などに行かせないでほしい」と呼び掛ける。頭が重い乳幼児は、浴槽をのぞき込んだ際に転落してしまうことがあるからだ。

 小中学生では親が周囲にいても溺れるケースがある。「子どもは静かに溺れるので、後ろにいても気付かないことがある。5分程度で心停止に向かってしまう」。野上医師が蘇生に関わった子どもの中には、命を落とした小学生もいた。対策として、河川や湖ではライフジャケットの着用や大人の手が届く範囲での遊泳がポイントとなる。

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