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からす小屋解体へ かつてはドラマ化も 池田町

解体が決まった「からす小屋」。町のカラス対策はかつてドラマ化され、注目された

 【池田】池田町は今年度、カラスを捕獲し処分するため、町内の利別川河川敷近くに設けている有害鳥獣駆除施設(通称・からす小屋)を解体する。カラスの活動範囲が変わり、近年は駆除件数が減少していた。からす小屋は、カラスが一度入ると出られなくなる「マルチトラップ方式」を採用。カラス用の同方式を考案した元町職員の奮闘は、かつてテレビドラマでシリーズ化されるなど全国から注目された。(澤村真理子)

1985年に建設、建て替え経て
 からす小屋は1985年、町役場から北に約1・5キロの場所に建設された。大雪や台風によって何度か倒壊し、現在の小屋は2016年に建てられた。面積は約140平方メートル。

 カラス用のマルチトラップ方式は、1981年から町の保健衛生係長としてカラス対策に従事した深松登さん(故人)が考案。金網でできた小屋の天井の入り口に、等間隔で丸太(現在はポール)を取り付け、それらに針金がつるされている。カラスは小屋に入る時は翼をたたんだままだが、出る時には翼を広げるため、針金に当たって出られなくなる仕組みだ。

佐藤B作さん「係長奮闘記」
 活動が認められ深松さんは88年に科学技術長官賞、90年に道社会貢献賞を受賞。深松さんがカラス退治に知恵を絞る姿は89年から計4回、北海道放送(HBC)で「カラス係長奮闘記」として、俳優の佐藤B作さん主演でドラマ化された。

 20代のころ、深松さんとともにカラス駆除に当たった餌取光一副町長は「当時はカラス被害が増えていて、衛生環境も良くなかった。毎日の餌の補給や、2~3日に1回の駆除も大変だった」と振り返り、「カラスに襲われる夢を見たこともあった」と苦笑する。

 同施設で捕獲したカラスの殺処分数は、以前は1000羽を超えていたが、近年は減少傾向に。2021年度は592羽、22年度344羽、23年度44羽、24年度はゼロだった。町町民課は「カラスの行動範囲が変わってきており、市街地から農村などに移っているのではないか」とする。

 小屋には、おとりのカラスを入れ、ある程度まとまった数が入った段階で処分するため、現在も町民課の職員が週2回、給餌している。夏は水やり、冬は除雪作業もあり、負担が大きかった。

町はごみステーション補助に
 町は今年度、箱型ごみステーション設置に対する補助金(上限5万円)を新設した。隣近所5世帯程度から排出されるごみ袋を集積回収することで、地域の環境美化や収集業務の効率化を図り、鳥獣による飛散を防ぐ。

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