とかち検定、役割終えた? 受験者伸びず、廃止も検討
帯広商工会議所は、主催する「とかち検定」の在り方を検討している。近年受験者数が伸び悩み、開始から18年が経過し「一定の役割を果たした」とする意見があるため。試験方式をやめることも視野に議論しており、近く方針を固める流れだが、関係者からは「試験方式だからこそ十勝への理解が深まる」と、現状維持を求める声も聞かれる。
とかち検定(正式名・十勝の観光文化検定試験)は、観光振興や生涯学習、教育への寄与を目的に2006年度に初級、08年度からは上級が開始。年1回で、自然、歴史、産業、文化など幅広い知識が求められ、有料の公式テキストがある。
受験者は、初年度に276人など累計で1549人。この10年は計30~70人台で推移している。初級の札幌での受験や子ども向けドリルの作成・配布、親子受験割引を行ったことも。対外的なアピールにと「合格認定事業者の証」を有料で発行しているが、発行は10事業所にとどまる。
帯商では観光文化委員会(黒川明彦委員長)が所管しており、「ある程度ニーズは取り込めた」や「当初は観光振興で十勝ガイドの育成も大きな目的だったが、公的なガイド認定にもなっていない」などの見解。2月25日の会議では検定試験の実施ではなく、自己研さんの場としてウェブ版の開設などの案も出た。
委員の一人は「試験方式をやめる場合、これまで取得した人がマイナスにならないよう整理するべき」と指摘。帯商では5月ごろまでには方向性を出す考えだ。
検定を活用した活動として、十勝シーニックバイウェイ・トカプチ雄大空間が展開するボランティアガイド事業「ライフコンシェルジュ」がある。ライフコンシェルジュの会の坂口利久会長は「試験方式だからこそ頑張って勉強できる。検定前の対策セミナーは、学び直しの機会にもなる」と力説。合格認定事業者の証を掲げる正木薬局めむろーど店(芽室)の桑田隆好社長も「顧客との会話にもプラス。潜在的な需要はもっとあると思う」とする。
全国検定振興機構(東京)によると、「ご当地検定」は09年に135あったが、13年は77に減少。商工会議所所管のご当地検定では、「くしろ検定」(釧路市)が20年で終了。一方、「道観光マスター検定」を主催する道商工会議所連合会は「企業が合格者に手当などで給与に反映させているところもある」と説明。「はこだて検定」は上級で博物館入館などに特典がある。「旭川大雪観光文化検定」は、小樽側と連携して施設割引や免除を設け、70~90人で推移している。(佐藤いづみ)