音楽と共に生きる人~人の気配
先月は奈良でレコード屋を営むミュージシャンを紹介したが、今月は宇都宮のレコード屋「Snokey Record」と、オーナーの竹澤政明さんについて書こうと思う。2カ月続けてレコード屋の店主を紹介したいと思ったことも何かの縁か。
自身もDJとして活躍する竹澤さんは、街の人や音楽仲間からサンスケさんと呼ばれている。僕もそう呼んでいる。愛称の由来を知らないので、次の酒のさかなにその話も加えよう。
サンスケさんとの出会いはもう10年以上前になる。今とは別の場所にお店があった時代に訪れ、そこから宇都宮でライブをする際には会いに行くようになった。お店でビールをごちそうしてくれたり、「昼飯まだ?」という話になればなじみの町中華に連れて行ってくれたり。ライブツアーを続ける理由がここにもある。
「レコード屋でビール?」と思った人もいるかもしれないが、お店の奥にはバースペースがあり、夜になるとそこでDJパーティーやライブが開催される。僕も何度かそこで歌ってきた。レコード屋の奥に秘密基地のような空間。海外のパブのような格好良さがある。ワクワクしないはずがない。何度かお店を引っ越してきたサンスケさんも、もう他には移れないのではないか。それくらい魅力的な物件を、見事に自分の色に染めて城を築いている。「きょうは急いでいるし、買い物する時間はないな」と思っていても、気がつけば数枚のレコードを手に持って店を出ている。北海道から栃木は少し遠くに感じるかもしれないが、音楽好きはぜひ足を運んでほしい。
Snokey Recordでまたライブをしたいと思っている。2024年12月現在、今だったらあの空間で何を歌いたいかなと考える。浮かんだのは『Christmas Is All Yours』だった。メリークリスマス!!
<Keishi Tanaka(タナカ・ケイシ)>
ミュージシャン。1982年大樹町生まれ。帯広柏葉高卒。Riddim Saunterを解散後、ソロ名義での活動を続け、V6への楽曲提供も話題となる。ニューアルバム『Like A Diary』が来年1月29日にリリースとなることが発表になったばかり。