ファイナルファンタジーの作曲家 士幌を拠点に創作意欲燃やす
【士幌】人気ゲーム「ファイナルファンタジー」シリーズなどの楽曲を手掛け世界で活躍する作曲家の浜渦正志さん(53)が、士幌町の中士幌地区に移住し、活動拠点となるスタジオも備え音楽活動を行っている。景観がお気に入りといい、「絵や脚本を書いたりと音楽以外の幅も広げていきたい」と、十勝での創作に意欲を燃やしている。(大健太郎)
浜渦さんは1971年ドイツ・ミュンヘン生まれで兵庫県育ち。東京芸術大学卒業後、ゲーム会社スクウェア・エニックスに入社。ファイナルファンタジーなどさまざまなゲーム音楽を手掛けた。2010年にフリーランスに転身し、MONOMUSIKを設立した。
帯広市出身の歌手Mina(酒井美直)さん(41)との音楽ユニット「IMERUAT(イメルア)」でも活動。21年5月に横浜市から士幌町に移住した。
大学の時から北海道に何十回も旅行していた浜渦さん。20代の時から十勝に移住するのが夢だったという。食べ物のおいしさと、晴れの日の多い冬が好きだという。「十勝は野菜も肉も何を食べてもおいしい」と話す。
出張で欧州などを訪問した際に、歴史の重みがある家屋に引かれていた。移住先を探すために北十勝を車で回っていた20年、和風の雰囲気漂う理想的な古民家を発見。防風林や畑の景色に引かれたほか、観光地化されていない、森や山々に囲まれた静かな土地柄にもほれ込んだ。帯広まで30分と立地的にも最適だった。
当初、家の中は柱の根元や壁の内部がボロボロ。自ら材木を購入してリフォームを始め、今も継続している。家の隣にあった農業倉庫の2階には、キーボードやスピーカーを備えた5畳ほどの音楽スタジオもつくった。
穏やかな景色を見ながら心にゆとりを感じて作業できるお気に入りの空間。今年発売になった「ファイナルファンタジー7 リバース」の楽曲や、NHKのアニメ「不滅のあなたへ」のエンディングはこのスタジオで手掛けた。
「実際に住んでみたら、近隣の人もすごくいい人ばかりだった。士幌に住んで本当によかったと思う」と笑顔。士幌から、世界のファンを魅了する音楽を届け続けている。
帯広であす「作品集」公演
22日午後2時から、浜渦さんの楽曲を演奏する「ピアノと弦楽 ピアノシュラハト4 mit kammermusik~浜渦正志作品集~」(MONOMUSIK主催)が、帯広市内のとかちプラザレインボーホールで開かれる。午後1時半開場。全席自由で、当日4500円、学生2500円。未就学児の入場不可。
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