英国で紙の立体造形15作品展示 現代アートの加藤さん
帯広市の現代アート作家加藤かおりさんの個展「Unfolding,Unfurling(アンフォルディング・アンファーリング)」が、英国南部の都市ソールズベリー郊外のギャラリーで、9月18日まで開かれている。8月5日の開幕に合わせて約1週間滞在した加藤さんは、現地で感じた芸術に対する両国の違いなどを振り返った。
現地では古い納屋を改築したギャラリーで、紙を折って作った立体造形15作品を展示した。ギャラリーが位置するのは十勝のように緑が広がるのどかな町。最寄りのティズベリー駅に到着した当初は、本当に見に来る人がいるのか気掛かりだったが、ギャラリートークには約100人が来場した。
繊細な手仕事の積み重ねで生まれた作品に、「どうやって作っているのか想像できない」「生きているみたい」と驚きの声が上がった。開催を掛け合ってくれた英国の芸術家ブルース・マンローさんも駆け付け「素晴らしい展示で、また力を付けたね」とねぎらわれた。取材を受けて、8月9日付タイムズ紙に紹介された。
ギャラリーの設営担当は一流のメンバーで、加藤さんの展示イメージをくみ取り、重厚感ある会場に負けない展示法を次々と提案してくれた。特に印象に残ったのが芸術に対する考え方の違い。英国では「好きだったら作家の知名度に関わらず買うのが普通」と感じた。日本の数十倍の価格でも一般の人が購入していったという。
最低価格が高額なのは、ギャラリーへの手数料が含まれ、設営担当の給与にも反映されるため。「若手作家が素晴らしいチームと仕事をして経験を積むことができる。いい使われ方で、今後もギャラリーが発展していく大事なサイクルがあった。だからこの国は作家が育つのだというのを見られた」と英国の人々の考えにも触れた。
多忙な日常に追われながら開催にこぎつけた加藤さんは、「とても学びが多かった」と充実の表情を浮かべていた。(高井翔太)
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