管内住宅地2・4%上昇 全用途2年連続プラス 基準地価発表
道は20日、2022年度の道内の基準地価(7月1日時点、1平方メートル当たり)を公表した。十勝管内の住宅地の平均価格は、帯広市内などの上昇によって2・4%上がった。商業地はマイナス0・3%だが、下落幅は前年から縮まった。住宅地、商業地、工業地を合わせた全用途平均(林地除く)は1・8%上昇で、2年連続でプラスになった。
帯広商業地4.4%上昇
住宅地は帯広市内の全16地点と音更町内の全4地点、芽室町内の全3地点、幕別町内の1地点で上昇した。帯広市の平均価格は3万1500円で、9・8%プラス。上昇は7年連続。最も高かったのは「西10条南11丁目3番3」の4万2000円(9・1%上昇)だった。上昇率は「西23条南4丁目13番9」の11・6%(3万5700円)が大きかった。
上昇率は音更町が横ばい、芽室町は上昇した。幕別町は「札内豊町33番5」が2万5000円で6・4%上がり、町平均ではプラス0・1%と24年ぶりに上昇に転じた。宅地不足を背景にした帯広圏の上昇が全体を押し上げた。
中でも音更町の「木野西通11丁目6番14」と「北鈴蘭南4丁目3番17」は10%台の伸びだった。他町村は上士幌町など8町村が横ばい、下落は4・3%マイナスの豊頃町など6町。昨年の9町に比べると下落した自治体は減った。
商業地は帯広市の平均がプラス4・4%で4年連続で上昇。「東1条南7丁目9番1外」の6・4%など調査した5地点のうち4地点で上がった。商業地の最高価格は「西1条南10丁目1番2外」で、前年度横ばいの10万3000円。
町村部の商業地は音更が5・2%プラス。その他の調査対象では、上士幌と新得の2町が横ばい、13町が下落した。
帯広市内の工業地は6・2%上昇し、6年連続の値上がりとなった。(安田義教)
宅地需要追い付かず 近隣3町に流れる傾向
道が20日発表した十勝管内の基準地価によると、帯広市と近隣3町の住宅地が引き続き上昇しており、宅地需要に比べて供給が少ない実態が改めて浮き彫りになった。市内人気エリアだけでなく、周辺に拡大していく「玉突き」もみられた。
農業を基盤にした堅調な地域経済と低金利などの環境の下、市内では一定の宅地需要が続く一方、大型の宅地造成は行われていない。市内の不動産鑑定士合田修さんは「宅地供給が潜在的なニーズに応えられていない」と語り、地価上昇につながったとみる。
利便性の高い白樺通沿いやフレスポニッテンの周辺は新たな宅地が手に入りにくく、東や南町、大空地区、近隣3町など他のエリアに需要が流れて地価が上がる傾向もあった。
ただ、北海道宅地建物取引業協会帯広支部の太田好啓支部長は、今年1~6月は減少に転じた住宅着工数に注目。「十勝経済は緩やかに回復傾向と言われているが、個人消費、住宅投資は減少しており、今後、宅地の価格も安定もしくは元に戻るのではないか」との見方も示す。
商業地では、市内の中心部はコロナ禍の影響が大きく、新たな投資が少ないこともあって横ばいが続いた。半面、郊外の幹線沿いは、近くの住宅地の上昇に連動してプラスが目立った。市内の工業地は土地供給が限られ、今後も上昇するとみられる。
帯広圏を除く町村部は、人口減少や少子高齢化で新たな需要や投資が少なく、下落傾向が続いた。一方で定住対策の成果が現れる上士幌や更別など地価が横ばいの自治体もあり、合田さんは「若者の居住が増えれば消費につながり好循環が生まれる。地価を下支えする要因になる」としている。(安田義教、完戸雅美)
国土利用計画法に基づき、都道府県が毎年7月1日時点で調べる土地1平方メートル当たりの価格。国土交通省が毎年1月1日時点で調査する「公示地価」と並び、土地取引の目安となる。今回の調査は全道1019地点、管内92地点(住宅地69、商業地21、工業地1、林地1)で実施された。