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トラックに美術品積み全国行脚 豊頃の白濱さん夫妻

美術作品を軽トラックに積み込んで全国を巡っている白濱雅也さん(右)と妻の真紀さん

 【豊頃】美術作品を軽トラックに積み込んで日本一周-。豊頃町に住む現代美術作家の白濱雅也さん(61)と妻の真紀さん(55)が、「ArtVan(アートバン)福寿走」のプロジェクト名で全国各地を回りながら自身らの作品を展示している。昨年6月から約1年で九州、本州、四国を横断し、走行距離は約6000キロ。3日に帰町した雅也さんは「『世界最小の美術館』デリバリーだと思っている。年内に回り終えたい」と張り切っている。

 白濱さん夫妻は、町十弗355でアートの実験場「Art Labo北舟(きたぶね)/Northern Ark」を運営。一方、コロナ禍でここ2年は集客がままならず、人々が美術作品に触れる機会の減った状況に雅也さんももどかしさを感じていた。

 そこで、美術館に足を運べない人だけでなく、そもそも美術館が地域にない暮らしを送る人たちに、こちらから出向いて鑑賞を楽しめる場を設けようと、雅也さんがかねて思い描いていた壮大なプロジェクトに乗り出すことを決心した。

 豊頃に来てから購入した中古の軽トラックを移動美術館とするため、荷台に鑑賞スペースとなる箱を設置するなど改装。箱の側面には、2頭の雄牛が登場する雅也さん自作の絵本「スターとゴールド」の原画29点、箱の中の小部屋に真紀さんによる箒(ほうき)作品や白濱さん夫妻のコレクションなど25点を置いた。

 プロジェクト名にある「福寿走」は、春を告げる花のフクジュソウが由来。「見つけた時に小さな喜びを感じられることと、アパートの名前にもよく使われているので親しみを持ってもらえる」(雅也さん)と考え、草を走にもじった。

 “船出”は昨年6月23日。苫小牧からフェリーで福井の敦賀港に行き、そこから九州へ。大分、福岡、長崎の順に計9カ所を約1カ月掛けて巡った。今年は5月13日に出発し、昨年と同様にフェリーで本州へ。三重を皮切りに、香川、愛媛、徳島、島根、山口、岡山、京都、兵庫、滋賀、和歌山、長野、岐阜、山梨、東京、茨城、福島、岩手、秋田の順に計25カ所を巡り、3日に豊頃に戻った。

 訪問先では作家仲間や知人らの協力の下、個人宅の庭先やカフェの駐車場などを借りて作品を展示。フェリー代やガソリン代などは町内外の企業からの協賛と、クラウドファンディングを通じて約50人から集まった約30万円を活用する。

 その地での新たな出会いもあり、雅也さんは「遠くに出歩けないお年寄りや普段は美術館に行かない人など、みんなが喜んでくれた」、真紀さんは「『私も絵を描きたくなった』と女性から声を掛けられてうれしかった」と思い返す。

 プロジェクトも終盤を迎え、残る行き先は北海道と沖縄のみ。雅也さんは「いつ出発し、道内でもどこの地域に行くかは未定。これから考えたい」と話している。(小縣大輝)

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