帯広の町田佑介さんが電動車椅子サッカーの日本代表候補に 十勝初
帯広市の町田佑介さん(28)が電動車椅子サッカーの日本代表候補27人に十勝から初めて選ばれた。同競技のワールドカップ(W杯)が来年10月、オーストラリアで行われる予定で、町田さんは「夢だった日本代表のユニホームを着て、世界の選手と戦いたい」と意気込んでいる。
町田さんは1993年帯広市生まれ。豊成小、帯南町中、岩見沢高等養護学校を卒業し、社会福祉法人刀圭会のケアハウス・デイサービスセンターそうび苑(帯広)で勤めている。
競技を始めたのは2017年。現在所属する札幌市内のチーム「Safilva」の練習に参加し、同年の横浜F・マリノスカップ(横浜市)でチームの準優勝に貢献。その後、大会に毎年出場したが、20年以降はコロナ禍で大会が軒並み中止となった。
それでも地道に練習を続け、今年5月上旬に静岡県で行われた全国大会に出場。3年ぶりの大会は初戦敗退だったが、唯一のゴールを決めるなどチームをけん引し、代表候補を射止めた。ドリブルで前線にボールを運ぶプレーやパス、シュート、相手の動きを予測しての守備などが持ち味だ。
道内選手は町田さん一人。2回行われる代表選考合宿のうち、7月30、31の両日に神戸市で開かれる合宿に参加する。
町田さんは小学4年生ごろに筋ジストロフィーと診断され、養護学校の2年生から電動車椅子を使用している。小学校時代はサッカー少年団でボールを蹴っていただけに「サッカーの形は違うが、W杯を狙える位置に来ていることがうれしい」と喜ぶ。
「応援してくれる人の期待に応えたい」と、よつ葉アリーナ十勝で週1回、札幌のチームで月1回の練習に取り組む。日本代表12人は10~11月に決定する予定。
他の病気や障害を抱える人たちへの思いもある。「挑戦することで僕はここまで来られた。他の人にも『自分も何かできるかも』と思ってもらえるきっかけをつくりたい」と静かに闘志を燃やしている。(松村智裕)
<電動車椅子サッカー>
電動車椅子に取り付けられたフットガードを用いてボールを“蹴る”室内競技。男女混合で1チーム4人。車椅子をスティックで操り、一回転させて強烈なシュートを放つなどのプレーでゴールを狙う。